教育」カテゴリーアーカイブ

事が始まる前に

 本来,今の段階でも私が何かを発してはいけなくなっていると思うのだが,この段階で何も書き置くことなく事態に突入するのは,建前は正しくても,私らしくないと思えるので,書くことにする。
 

 明日から「ある仕事」の関わりを始める。

 その仕事を依頼してくれた皆さんとお会いすることになっているのであり,私の中では,そこが実質的な立場の切り替え機会になる。

 その仕事に関する情報を明確に発することができるかどうかは,関係者の皆さんに確認して,許される範囲で試みたいと考えている。

 その範囲がどの程度かは定かでないにしても,一つハッキリしていることは,私の立ち位置が変わるということである。

 具体的には,いつもの調子で気楽に批評を加えるだけでは済まないということになる。当事者の一人になるわけであるから,第三者的に振る舞えないのは当然である。

 そして私は,そのお仕事をできるだけ批判に耐え得るようアドバイスして,内部補強する形で「守る」ことを目指さなくてはならない。それが可能なのかどうかはやってみなければ分からないが,努力はしたい。

 たぶん問題山積なのだろうと思う。

 こうした仕事に満足の行く部分がわずかでもあれば幸せな方で,あとからあとから非難や批判が積み重ねられて辛いことの方が普通なのだろう。

 なので,私は,最初から別の目標を立てることにしようと思う。

 考えていることは漠然としたものばかり幾つもあるといった感じだが,顕在的な大きな目標よりも,潜在的な隙間の問題を拾い集めて考えていこうと思っている。たとえば,仕事にかかわる人たちのコミュニケーションの問題に焦点を当てるだけでも,いろんな問いが浮かび上がりそうだ。

 他の人たちが注視してくれるところは,私が気にしても仕方ないので,私は私なりのスタンスでその仕事を捉えて,内外に還元していこうと思っている。もちろん,仕事における本来の役目を全うするのは当然。

 その仕事に関わるのは私一人だけではない。多くの人たちが関わっている。その中で,足並みを揃えなければならない部分は多い。

 そのことが,私自身の中の葛藤としてどう生起するのかしないのか分からないが,そのこともちゃんと考えて成果に反映させていければなと思うのである。

 私がここに書き置きたかったのは,確かに私の立場は大きく変わるし,それゆえに私の言動が変わって見えるところもあるかも知れないが,私は私であるし,制約や関係性の中でも私なりの試みを展開したいという意気込みである。それを忘れないように記しておきたかったのである。

 私から失礼やご迷惑をおかけしている皆様も多いけれども,そのような状況と,私の生来の不徳のせい。どうかご容赦を。

 そして,これから起こることをこっそりとお楽しみいただきたいとも思う。

みんなのデジタル教科書教育研究会Liveを終えて

 7月31日土曜日の夜に,「みんなのデジタル教科書教育研究会」のメンバーによるUstream生放送を行なった。略して「デジ教研Live」である。

 「みんなのデジタル教科書教育研究会」(以下,デジ教研)は,立場を問わずデジタル教科書が入り込む教育について関心のある人々が集って意見交換や議論を共有する目的で始まった。会費は無料の有志集団である。

 一方,企業・団体が集まって立ち上げられたのが「デジタル教科書教材協議会」(DiTT:ディット)という民間組織である。そちらは法人会員のみのいわゆる業界団体だ。設立シンポジウムは世間の注目を集めたし,今後様々な動きを見せるのだろうけれども,個人が関わることを前提にはしていない。

 デジ教研は,「デジタル教科書」というテーマを,関心のある人たちの手もとに引き寄せて,私たちも考えていこうという思いを形にしたものだと,私は理解している。

 Twitterやメール(メーリングリスト),掲示板を使ったやりとりが少しずつ始まっており,興味深い意見も交わされている。

 願わくは,会が賑やかに継続していくことを期待しているのだが,私自身の経験上,文字ベースのコミュニケーションには山あり谷あり,次第に勢いが衰えて,疎遠気味になる事例も珍しくない。

 たとえば,早い時期にあるテーマの議論が済んでいると,会の新参者が同じテーマを議論する際に「すでにそのテーマは扱いました」とか「アーカイブに議論がまとめてあるから読んどいて」みたいな対応を受けてしまいがちだ。

 議論がまとめてあるのは有り難い話だが,会の趣旨である意見交換や議論を共有したことにはならないのではないか。単に情報を共有することだけでなく,一緒に考えていく経験(端的に言えば時間)を共有することも必要なのだと思う。

 (もっともそれを曲解すると国会や審議会の審議みたいに「○時間審議したから十分」という身も蓋もない根拠に使われることになるけれど…)

 そういう場合,会の活動を活発化させるアイデアとしては,会報を定期的に発行するとか,集会や研究会を開くとか,イベントを開催するとか,そういう類の活動刺激をつくっていくことである。

 デジ教研は全国にメンバーが散らばっているので,どこかに集まることは難しいし,普段から文字ベースでコミュニケーションしているのだから,いまさら会報を出すのも新鮮みがない。

 というわけで,だったらUstream番組を定期的につくっていくことで,声のコミュニケーションを取り入れてはどうだろうかと思った次第である。Twitterと縁の深いUstreamを使わない手はない。発想は安易だが,よいアイデアだと思った。

 発起人の片山さんなどに投げかけたら,好感触だったので,さっさと日にちを決めて実験放送を実行することにした。それが7月31日だったというわけである。

 デジ教研Liveは,当初Skypeの会議通話を使って,複数の人たちと会話しながら,その音声をUstreamで放送する予定だった。私は技術調整係として,Skypeをホストし,Ustreamに流す仕事をすればいいだろうと考えていた。

 ところが,いざ会議通話を使ってみると,たった3人の会話さえうまく交わせないことがわかった。マシンの非力さか,回線の細さか,理由は様々だろうが,当初の予定通りにはできなくなった。

 Ustreamへの送出は私が担当していることもあって,私がSkypeでいろんな人の話を聞くというスタイルで進むことになった。

 第一部は,「みんなのデジタル教科書教育研究会」発起人である片山さんとおしゃべりをした。デジタル教科書が話題になってきたいきさつや会の紹介を目的としたものである。
 片山さんは,新潟の小学校の先生であり,地域の情報教育の研究にも尽力されている現場のエキスパート。そんな片山さんが呼びかけをした会だから,現場の先生方のメンバーも多いことが特徴だ。そこに様々な分野のメンバーが加わって,会の幅が広がっている。

 第二部第三部は,山形の大学に勤められているスットコさんにいろいろ話を聞いた。情報技術と教育の関わりについて長らく追いかけられている経験からデジタル教科書と教育の関係についてや,ご自身の取り組みも含めておしゃべりいただいた。
 スットコさんは,コンピュータネットワークを活かした教育を注視している研究者であると同時に,Twitterからは電子楽器やVJといったデジタル・カルチャーの実践者としての顔も見える。

 第四部は,再び片山さんにご登場願って,感想を聞いたり,補助教材の実際について解説いただいたりした。こうした現場の様子を語っていただくことも大事かなと思う。

 一旦,放送はここで終わる事にしたのだが,放送前から手伝ってくださると約束していた方がいたので,その方を待って,強引に第五部をスタートした。

 第五部は,山梨で公立図書館の館長さん(指定管理者館長が正式なのかな?)をされている丸山さんにご登場いただいた。図書館の立場から見たデジタル教科書や教育の情報化に関しておしゃべりしていただいた。
 教育現場と関係しながら,また違った角度からのお話は興味深いものであり,丸山さん自身が開発者という経験をお持ちで,知のエコシステムといった大きな枠組みに関する議論につなげて考えられていたりと,刺激的な話題が多かった。お疲れのところ申し訳なかったけれど,ご登場いただけたのは幸運だった。

 というわけで,実験放送のつもりが,一晩にお三方のお話をお伺いすることができ,しかもリアルタイムで30名程度の聴取者とTwitterのコメントにも恵まれ,大成功の内に幕を閉じた。

 こうやって,いろんな人たちの声を素直に伺ってみるだけでも,今までの議論をもう一度振り返ったり考え直したりできるし,もしかしたら新しい視点を得られるかもしれない。デジ教研Liveの可能性はいろいろ広がっているように思えた。

 どうしてもこれまでデジタル教科書は,ソフトバンクの孫正義さんとか,慶應義塾大学の中村伊知哉さんとか,それから,蔭山英男さんや藤原和博さんといった有名どころの人々ばかりが発信している話が話題になりがちであった。

 けれども,現場に近いところの人々の発信する話の方が,もっと現実的だし,もっと面白かったりするし,もっと刺激的だったりする。

 デジ教研Liveの活動は,デジタル教科書に対する人々の声を引き出す,とても大事な取り組みの一つになるように思う。私もできる限りお手伝いしたい。

 デジ教研Liveは,有志が多元的に展開する取り組みなので,もし「私も誰かの話を伺って放送してみたい」と思ったなら,会のUstチャネルを借りて実践することができる。

 そうした活動にも関心がある人は,「みんなのデジタル教科書教育研究会」に参加して挑戦してみてはいかがだろうか。

 個人的には,どこかの小学生や中学生も会に参加してくれて,デジタル教科書に関する調べ学習の中でインタビューを放送してくれても面白いなと思う。

デジタル教科書実現のために

 議論のために意識しておきたいことは先回書いた。

 その後,デジタル教科書教材協議会の設立シンポが開かれ,私自身もUstreamで会の進行を見ることができた。

 協議会設立シンポ自体は,登壇者の持論という部分では目新しいものがあったわけではないが,今後の前向きな取り組みを期待させる雰囲気のよいものであったと思う。元東大総長であり協議会の初代会長となった小宮山氏の見識も,この会の方向性をよい方向に導いてくれそうだったことが好感につながっている。

 さて,丁寧な議論が必要である一方,現実を動かすためのアグレッシブな取り組みも同時に必要であることは,明らかである。

 私が議論のために慎重さを求めると「懐疑派・否定派・抵抗勢力」側に立つと思われやすいのだが,実際のところ物事の実現のためには結構積極派でもある。

 要するにブレーキとアクセルを1人のドライバーが操作するのと同じ事。私は教習所の教官的にブレーキだけ踏む人ではないのである(もちろんそういう役回りが必要なときもあるが…)。

 というわけで,私の周りにあった「点と点」を結びつけることで,いくつかの取り組みにチャレンジすることにした。

 まずは,9月の日本教育工学会でワークショップの場が提供されるのであるが,そこで「タッチデバイスの教育利用」というテーマのワークショップを開催することとなった。夕刻の90分だけだが,学会以外の皆さんにも参加していただける企画である。ワークショップという名前は,あまり気にしなくてもいいと思う。あれこれご一緒に考えましょうという感じで十分。

 次に,デジタル教科書教材協議会の実証実験に参加表明することになった。実は,この分野に関心のある人々の中に,私の地元である愛知県尾張旭市とゆかりのある関係者が3人いて,Twitterで意気投合してしまった。ならば,来年予定されている実証実験やモデル校をやるのの協力をしようということになった。9月の学会は名古屋であるし,自分の出身地のためと思えば力も入る。

 そして,有志が集まった「みんなのデジタル教科書教育研究会」で,ネット番組による交流,情報発信をしてみてはどうかと提案した。文字だけのコミュニケーションだけだと,どんどん敷居が高くなったり,難しくなったりしがちだが,ざっくばらんに「しゃべる」機会を短くとも定期的に持つことで,会の活動の刺激にもなるのではないかと思った。そのお手伝いをする。

 こうやって,議論のためのプラットフォームづくりや活性化を通して,デジタル教科書の実現に貢献することも大事だと考えている。モデル校や実証実験にも関われれば研究者として本望だ。

 いろいろなことがうまく展開するよう頑張ろう。

教育は投資

 そろそろ授業も,拡げた風呂敷を畳んでケリをつける時期。

 今日は教育学講義で久し振りにビデオを見た。iPadにあれこれ映像ソースを溜めておくと講義の際に見せるのも楽ちんである(一方,アナログ放送が終わり,地上デジタルになると,テレビ番組を使いたい教育現場は大変困る)。

 昨年10月に放送された「セーフティーネット・クライシス第3回しのびよる貧困 子どもを救えるか」を学生達と一緒に観て考えていく。鳩山内閣が短命に終わって,かなり状況も変わってしまったけれど,子ども達が直面している貧困の問題が根本的に解消したわけではないので,観る意義はあると考えた。

 学生達の感想を読むと,皆一様に驚いていた。

 私よりも小中高校生に近い存在である大学生たちが,こうした現実がどこかにある事に驚きを感じるというのは,本人たちの問題というよりも,日本のあちこちにオブラートを張り巡らされているような社会であるせいだろう。

 番組はわかりやすい構成で,小学校や高校,そして家庭で起こっている子ども達の貧困状況,フィンランドの教育改革,そして駄目押しで日本の待機児童の問題のビデオが流れ,パネラーのコメントが挟まれ進行していく。

 もともと社会保障などを抑制し,経済成長を基調として企業や家庭がセーフティーネットを支えてきた日本のあり方が,立ち行かなくなっている現実を指摘する。問題は,教育が公的に投資ではなく負担と捉えられ,私的な支出で賄うものだと考えるマインドが根付いてしまっていることである。その点を指摘しているので,私個人はこの番組を評価して授業で使っている。

 幸い,子ども手当や高校授業料無償化がスタートして,この問題に対する大事な一歩を踏み出しはしたのだが,私たちに教育を支えていくというマインドが醸成され始めたかといえば,それはやはり「お上の決めたこと」。

 選挙まっただ中,マニフェストを覗いてみても,どこもかしこも野暮ったいことしか書かなくなっていることに,私たちはもっと怒るべきなのだが,忙しさにすっかり絡め捕られている日々なのである。

 それに,この国にある教育のリソースは,人も物も考えも不十分で,投資に見合うかどうかを判断するところで大きな懸念が立ち上ってしまう。

 だから,今ごろになって,教員資質の向上を考え直しているし,学校環境整備をやらないといけないし,教育課程も見直さなきゃと慌てている。

 要するに裏を返せば,どれも投資に見合うようにはバージョンアップしてこなかったということである。

 だとしたら,制度的な緩和でも何でもして,プラットフォームをオープンにして,外から有望なリソースを持ち込んでくることも現実的に考えなければならないが,それも生理的な拒否反応を示しそうな,そんなこの国である。

 それでも私は,学校教育がある程度オープンになるというか,既存部分のいくらかを放棄してもらって,そこに新しい流れを打ち立てていく,そんな構図で変わっていくのではないかと思っている。

 おそらく私たちが「これまで日本の教育を支えてきたもの」と考えているものを放棄しなければならないと思っている。それが学習棄却という形で実現するのか,権益放棄という形で実現するのか,人員転換という形で実現するのかは,正直分からないし,それは人々の選択の問題だと考えている。

 研究者としては,学習棄却あたりで苦労してもらって,新しいプラットフォームに日本の学校教育が乗っかればいいなと穏便に考えたい気持ちが大きい。けれども,為政者や納税者にすれば,クビ切りが一番かも知れないから,そういう立場の違う人々とどう社会創造を共有するか,その問題も解かなければならないかも知れない。

 相変わらず先行きが見えないということだけはハッキリしている。

 p.s.テレビ東京系「ガイヤの夜明け」で子育てをテーマにした回があった。こちらも観てから教材に使えるか検討してみよう。

韓国デジタル教科書

 とある仕事の中で、韓国のデジタル教科書について触れる部分があったので、念のために情報のウラを取り始めた。出来るだけ一次情報に近い所の文言を確認したいが、頼りになるのはネットだけ。限界あるのも承知しているが、とにかく可能な限り情報を掘り出していく。

 すでに韓国デジタル教科書の公式サイトはブックマークしてあったし、研究校も探してあったので、そこら辺を中心に情報を引き出す。残念ながら韓国語並びにハングルはほとんど分からないので、ネット翻訳がフル活躍だ。以前、韓国の人たちもネット翻訳で堂々と日本語サイトにアクセスして、情報交換していることを聞いたことがあるので、私も活用してみた。

 幸い、研究校は詳しく情報発信をしてくれているので、実証実験の様子を遠い地にいながら、少し垣間見ることができた。

 韓国のデジタル教科書は様々なマルチメディア学習コンテンツとインタラクティブなワークノート、オーサリングツールとネット端末機能を総合したデバイスとなっている。

 もともと韓国にはEDUNETという教育情報インフラシステムが稼動しており、デジタル教科書もこれと連携したシステムとして構築されている。

 ご存知の通り、韓国はマイクロソフト製品を国の基盤システムに据えているので、ほとんどWindowsベースなのだが、コンテンツ管理システム自体はオープンに作られているので、デジタル教科書にはLinux版も用意されて、同時に開発が進められている状態である。(まあ、Linuxで動けば、Macで動かすのも難しくは無い。動かすだけなら…)

 子どもたちは、国語や算数、社会や英語活動等で一人一台タブレットPCを目の前におき、デジタル教室にある70インチ以上の大スクリーンを合わせて見ながら授業を受ける。

 いくつかの動画を見る限りにおいて、先進校の小学5、6年生だし、訪問慣れしているだろうことも手伝って、一斉と個別の混在した授業は一応成立していた。しかし、授業題目によっては、教室の統制をどうとるのか悩ましい問題もありそうだ。日本の授業の組み立て方だと、かなり難しいかもしれない。

 デジタル教科書開発とそのための授業方法の開発が研究目的なので、もちろん良い所ばかりでなく、不都合な点や問題点を明らかにする活動もしている。バグ報告掲示板や定期的に行われる調査や試験、実践公開に関する情報発信も学校によって程度の差はあるが行なわれている。調査はアンケートやヒヤリング等が併用され、調査事項は学習効果に関することはもちろん、ソフトウェアの使いやすさとUIに関すること、デバイスの使用によって引き起こされる健康上の問題はないか、心理的な負荷はないかなどを調べる調査まで、実に様々である。

 こうした実験校の発信している情報をみると、対外的なショーケースに過ぎないとはいえ、デジタル教科書に対する韓国の本気度を少し信じてしまいたくなる。まあ、それでこそショーケースなのだけれども…

 はたして日本のデジタル教科書普及に手を上げている人々が、どの辺まで本気を持続させようと思って取り組み始めているのか、私はまだ計りかねている。十年後もそこに留まって見守ってくれてるほど教育の人でもないだろうし、だからと言って日本や教育を思って力を注ごうとしてくれている事は否定すべきではないし…。私は相変わらず遠回りしながら片方で応援しつつも、片方で問うていくことしかできそうにない。

各党マニフェスト(教育部分)

民主党
自民党
みんなの党
日本共産党
公明党
社民党
国民新党
新党改革

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以下は,民主党マニフェストから教育部分を抜粋。

【民主党2010】=====

4子育て・教育

未来を担う子どもたちへの政策を最優先にします。

チルドレン・ファースト。子育て支援や高等教育も含めた教育政策のさらなる充実で、社会全体で子どもを育てる国をつくりあげます。

●財源を確保しつつ、すでに支給している「子ども手当」を1万3000円から上積みします。

●上積み分については、地域の実情に応じて、現物サービスにも代えられるようにします。(現物サービスとして、保育所定員増・保育料軽減、子どもの医療費の負担軽減、給食の無料化、ワクチン接種の公費助成などを検討します。)

●2011年度から「子ども手当」に国内居住要件を課します。海外に住んでいる子どもは対象にしません。

●出産育児一時金、不妊治療支援など出産にかかわる支援策を拡充します。

●大学生、専門学校生などの希望者全員が受けられる奨学金制度を創設します。また、大学の授業料減免制度を拡充し、教育格差を是正します。

●出産から成長段階までの切れ目のないサービスを実施します。特に、就学前の子どもの保育・教育の一体的提供を進めます。

●少人数学級を推進するとともに、学校現場での柔軟な学級編制、教職員配置を可能にします。

【実現したこと】(マニフェストにない政策を含みます。)

20.子ども手当の支給開始
中学生以下の子ども一人あたり月額1万3000円の「子ども手当」の支給を開始しました。

21.保育サービスの拡充
2010年度から14年度にかけて、保育所の定員を毎年5万人増やすことを決定し、これに沿って実施しています。

22.母子加算の復活、児童扶養手当の拡充
生活保護の母子加算を2009年12月に復活させました。これまで給付されていなかった父子家庭への児童扶養手当は8月分から支給開始予定です。

23.質の高い教育の実現
教員が一人ひとりの子どもと向き合う時間を増やすため、2010年度は4200人の教員定数の改善を行いました。

24.スクールカウンセラーの配置
生活相談、進路相談を行うスクールカウンセラーの配置を、2010年度に3650校から1万校に増やしました。

25.高校無償化のスタート
2010年度から、公立高校の授業料を実質的に無料化しました。私立高校生などに対しても公立と同程度の支援を行うことで、授業料負担を軽減しました。

26.奨学金制度の拡充
希望者全員が受けられる奨学金制度をめざして、2010年度予算において大学等奨学金の貸与者を3万5000人増やしました。

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以下は,自民党のマニフェストから教育部分を抜粋。

【自民党2010】=====

頑張る人、頑張った人が報われる社会を実現します

「財源なくして安心なし、安心なくして成長なし」の考え方のもと、安心できる社会保障制度を確立し、普通に頑張る人が報われる社会を実現します。

39 子どもたちの成長に合わせた切れ目のない子育て支援

・特定不妊治療に要する費用の全額助成と年間回数制限(現行2回)の撤廃
・妊婦健診費用の公費負担の継続
・周産期医療ネットワークの整備・充実
・出産一時金60万円への拡充、居住地減で出産できるよう産科医療機関の開業を支援するなど出産環境の整備
・父親の産休・育休取得のための環境整備(8819運動)
・0〜3歳児のいる家庭への訪問育児支援の推進
・母子家庭等が子育てと就業の両立ができるよう環境整備の充実
・国の責任において良質な保育所を整備・拡充し、待機児童ゼロ作戦を実現
・地方における保育所の定員割れ対策
・保育所施設基準の維持・改善、保育士等の処遇改善及び人員の確保
・3歳から小学校就学までの国公私立すべての保育料・幼稚園費の無料化
・病児・病後児保育や一時預かり保育、地域子育支援センター・ファミリーサポートセンターの拡充などの保育メニュー充実への支援
・感染症の拡大防止システムなど乳幼児の安心・安全を確保する仕組みの構築
・子どもの医療費無料化
・小学校給食の無償化など小・中学生の子どものいる家庭への支援
・放課後児童クラブについて、既設の小学校施設の活用などにより全ての小学校区での設置、その規模の適正化や指導員の増員・処遇改善などによる質の確保、「公的責任」や「最低基準」などの法的根拠の明確化
・放課後子ども教室を活かした補習支援
・理科・数学の教科担任制や全国学力調査、教員免許更新制度の復活など公教育の充実
・高校生や大学生への給付型も含めた奨学金の拡充などを実施します。
特に、保育に関しては保育の質の低下、保護者負担の増加、保育従事者の処遇の低下を引き起こす恐れのある保育の産業化ではなく、児童福祉として子どもの健やかな育ちを保障し、子育て家庭の支援を積極的に行うとともに、貧困や格差に対するセーフティーネットとしての機能も含め保育制度の充実を図ります。
上記の子育て支援サービスの一部については、地減の実情に合わせて組み合わせることができるよう、子育て交付金を創設し、各自治体において、親・保育関係者・地減住民・行政の協議に基づいた予算配分と創意工夫が生かせるようにします。
「子ども手当」に関しては財源の裏付けもなく、また、政策目的や効果も不明であることから全面的に見直します。特に外国人の海外在住の子どもに対してば、子ども手当の支給を早急に停止します。

世界をリードする「教育立国日本」を創造します

子どもたちに世界トップレベルの学力と規範意識、そして日本に誇りが持てる教育再生、一人の落ちこぼれも出さない教育を行います。理念なきバラマキ、日教組の偏向教育丸呑みなど、国民の間に不安が広がる民主党政権の教育政策に対し、「教育再生」の流れを止めることなく、「人間力」を高めるための教育を推進します。

212 世界トップレベルの学力と規範意識を兼ね備えた教育

「教育基本法」に基づき、「教育振興基本計画」「新学習指導要領」を確実に実施するため、OECD諸国並み(5%)の公財政教育支出を目指します。全国学力・学習状況調査を悉皆調査に戻し、全ての子どもの課題把握、学校・教職員の指導改善に生かします。さらに土曜授業を復活させます。
国旗・国歌を尊重し、わが国の将来を担う主権者を育成する教育を推進します。過激な性教育やジェンダーフリー教育※、自虐史観偏向教育等は行わせません。道徳教育や市民教育、消費者教育等の推進を図るため、新科目「公共」を設置します。中学・高校でボランティア活動やインターンシップを必修化し、公共心や社会性を涵養します。農山漁村地域での体験学習等を推進します。

※ジェンダーフリー教育 男らしさや女らしさなど性差を否定したり、伝統文化を否定する教育。

213 激動の時代に対応する、新たな教育改革

世界トップレベルの教育立国とするため、幼児教育の無償化、小学校5・6年生への教科担当制の導入、義務教育化を含めた高等学校の理念・あり方の検討等、現行の六・三・三・四制の是非について検討し、新時代に対応した「平成の学制大改革」を行います。
「高校卒業検定試験」等の実施を図り、確実に学力を身に付けさせます。併せて、大学全入時代の大学入試のあり方そのものを検討します。例えば、東京大学において、現行の入学試験とともに、世界のリーダーたる人材の養成を前提とした入学試験を行います。一度社会に出てからも、学び直しができるよう、社会人が再び大学で学べるシステムを導入し、キャリアアップの機会保障と再チャレンジを促進します。

214 安心して、夢の持てる教育を受けられる社会の実現

質の高い教育ときめ細かい指導を行うために、教職員定数を改善します。教育の地域間格差が生じないよう、教育の正常化を図ったうえで、義務教育のあり方について検討します。「安全配慮義務」の周知徹底を図る等、いじめ問題に全力で取り組みます。17万人を超える不登校者、6万5千人を超える高校中退者を出さないための教育を実現します。
真に公助が必要な児童・生徒が安心して高校、大学、専修・各種学校に通えるよう、新たな就学援助制度や給付型奨学金※の創設、特に私学における低所得者の授業料無償化等を行い、家庭の経済状況に関わらず、志ある子どもたちの夢を徹底支援します。

※給付型奨学金 返済義務のない奨学金。

215 公私間格差の是正・私学助成の拡充

公教育において私学が果たしてきた重要性に鑑み、私学の建学の精神を尊重しつつ、「私立学校振興助成法」の目的の完全実現(教育条件の維持・向上、修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性向上)のため、公私間格差の解消を図るとともに、私学助成を大幅に拡充します。

216 教育の政治的中立を確保するための「新教育三法」

「教育公務員特例法」違反者に罰則規定を設け、教職員組合(日教組等)の政治的中立確保及び、選挙活動・強制カンパ等の違法活動を防止します。教職員組合の収支報告を義務付け、公金を原資とした資金の透明化を図るとともに、違法活動団体は、「地方公務員法」に定める人事委員会の登録団体から除外します。「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」の徹底を図り、教育委員会等に必要な調査を義務付けるための法改正を行います。
さらに、北海道や山梨、神奈川の教職員組合がおこした政治資金規正法違反事件等を徹底的に究明し、教育の政治的中立・正常化に関する国民的な議論を喚起します。

217 教師の質を高め、頑張る教師を応援

メリハリある給与形態の確立や優秀教員認定、及び教員が子どもたちに没頭できる教育システムを構築し、真に頑張っている教師を徹底的に応援します。教員人事への教職員組合等の介入を排し、教育委員会の責任のもと、バランスのとれた教員配置を実現します。
教職員の資質向上と教育水準の維持・向上のため、教員免許更新制度の運用面での課題を是正し、実効ある制度設計を行います。一方、指導力不足教員は教壇に立たせません。

218 安全・安心な学校環境の構築

民主党政権は高校授業料無償化の財源確保のため、学校耐震化・老朽化の予算を3分の1以下に削減しましたが、わが党はこれを厳しく追及し、政府に予備費の使用を決定させました。学校の耐震化・老朽化(築30年以上が約5割)対策を強力に推進し、100%実施します。
また、わが党主導で、無認可共済となっていたPTA等の共済制度を確立するための「PTA・青少年教育団体共済法」が成立しました。今後とも、安全・安心な学校環境の構築に取り組みます。

219 幼児教育の充実・強化と幼児教育の無償化

幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。全ての子どもに質の高い幼児教育を保障するとともに、国公私立の幼稚園・保育所・認定こども園を通じ、全ての3歳から小学校就学までの幼児教育を無償化します。
就学前の多様化する教育・保育ニーズに柔軟に対応するため、幼稚園・保育所・認定こども園の教育機能の充実・強化を図ります。

220 読解力を高める国語教育

国語科は各教科等の学習の基盤であり、小・中・高等学校を通じて国語教育の一層の充実を図ること、特に、読解力、知識・技能の活用等、思考力・判断力・表現力の育成を重視することが必要です。そのため、国語科の授業について、「子どもの言語能力を育てる授業」へと改善し、具体的には、OECD/PISA調査の読解力の育成のため、子どもが「聴いて→考えて→つなぐ」学習を展開します。

221 外国語活動を含めた外国語教育の充実

「教育振興基本計画」で外国語教育の充実が掲げられており、「新学習指導要領」が小学校では平成23年度から、中学校では平成24年度から完全実施されるにもかかわらず、政府行政刷新会議「事業仕分け」が「英語教育改革総合プラン」を廃止と判定した結果、予算が前年度比マイナス74.3%と、大幅に削減されました。
しかし、例えば「英語ノート」は、特に外国語指導助手(ALT)等がいない町村部で活用されており、「英語ノートがなければ平成23年度からの外国語活動が実施できない」等の意見が現場には強くあります。わが党は、今後とも外国語活動を含めた外国語教育の充実を図ります。

222 理数教育及び才能教育の大幅な充実・強化

次世代を担う理数好きな子どもを増やすため、体験活動や実験教室の充実、理工学部の学生や企業関係者等の外部人材の活用、さらには理数教育に携わる教員の指導力向上等、初等中等教育段階での理数教育を大幅に充実します。「事業仕分け」で「理科支援員等配置事業」が「廃止」とされましたが、わが党は事業の継続実施や設備整備の支援を今後とも推進します。
将来、世界のリーダーとなるような明確な目的意識を持つ子どもの育成に向けて、優れた資質を伸ばし、育てる才能教育を強化します。「スーパーサイエンスハイスクール」※を一層拡充するとともに、国際科学オリンピックに参加する児童生徒数の大幅な増加を促進し、国際的な交流機会を拡大します。

※スーパーサイエンスハイスクール 文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を指定する制度。

223 真に外国人との友好を築く日本語教育

外国人の子どもが公立学校に通っても、日本語が分からない等の理由により授業についていけず、不就学になる者が多いとの指摘があり、日本語指導員の配置等、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受入体制を構築します。
外国人の大人に対する日本語教育は、体制が十分に整備されているとは言えません。外国人に対する日本語教育の質と量を十分に確保するためには、日本語を学習する機会の拡充が必要であり、「生活者としての外国人のための日本語教育事業」等を継続的に実施・充実させます。わが党は、民主党のように単に外国人にもお金を出せば良いという施策ではなく、真に外国人との友好を育むための環境整備を行います。

224 一人ひとりを大切にし、充分に力を伸ぱす特別支援教育

養護教諭の複数化の充実,特別支援教育コーディネーター※の機能強化、高等学校への支援員の配置、発達障害のある児童生徒の実態調査の検討、ICT等の技術を活用した教材等の研究、指導内容・方法の工夫改善、障害のある生徒に配慮した高校入試の実施、中・高連携による進路指導の充実、特別支援学校等と産業界との連携による実践的指導の実施、障害者就労支援コーディネーターの配置、国立大学法人附属学校における特別支援教育の推進・充実等に重点的に取り組み、発達障害を含む障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育を推進します。

※特別支援教育コーディネーター 各学校において、教育的支援に携わる人・機関を連絡調整するキーパーソンで、校内または福祉・医療機関などの関係機関との間の連絡調整役、保護者に対する学校の相談の窓口の役割を担う者。すべての盲・聾・養護学校及び小・中学校において指名し、校務分掌に明確に位置づけることが求められている。

225 受験一辺倒でない多様な選択肢を持つ教育

普通高校以外に、最先端の職業教育を行う専門高校を設置する等、受験一辺倒でない、多様性・専門性のある選択ができるようにします。
専門学校の果たしてきた実績に基づき、職業教育に特化した新しい高等教育機関を創設し、「学校教育法」上の地位についても検討します。現状の専修学校各種学校の存在意義を十分認識して、他の学校群との制度的格差の解消を目指し、財政的支援や教育内容の充実に向けての公的支援等を図ります。

226 高等教育政策・大学政策の積極的な推進

東大・京大等に民間企業型ガバナンスを導入すること等により「民営化」、「スーパー・ユニバーシティ化」を図り、私学も含め5年後までに世界の大学ランキングの10位以内に3校、30位以内に5校以上入ることを目指します。大学を国際標準である9月入学とし、高校卒業後の3ヵ月間は社会体験ボランティア活動期間とします。
「高等教育庁」の検討等、公正かつ抜本的な高等教育・大学振興策を策定・推進します。私立大学の収入の約8割は学生納付金であり受益者負担が重く、国公私立大学の設置形態論・経費の受益者負担論の見直し等を行い、財政支出の仕組みを再構築します。地域共創(大学と地方・地域社会、産業の連携)運動を積極的に推進します。

227 大学の基盤的経費の確保

わが国の基礎科学の中核を担っているのは、多様な人材が集い、教育活動や研究活動を行っている大学ですが、近年、その安定的な教育研究活動を支える基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設整備費補助金、私学助成)が大幅な減少傾向にあります。
これにより、教員数の維持や施設・設備の管理・運用等で、多大な困難が生じていると指摘されていることから、わが国の基礎科学を強化する観点により、これらの基盤的経費を十分に確保します。

228 大学院教育の抜本改革

大学院について、研究活動のみならず教育活動を一層重視し、体系的かつ集中的な人材育成の取組みを強化するとともに、社会の多様な場で活躍する人材を育成・確保するため、産業界や優れた人材育成の取組みを行っている公的研究機関等との密接な連携・協力を推進し、大学院における教育活動を強化します。
世界をリードする大学院の形成を促進するとともに、世界水準にある大学院の層に厚みを持たせるため、世界最先端の優れた教育研究活動を行う大学や特定分野で質の高い教育研究活動を行う大学等に対する重点的支援を強化します。教育研究活動の「たこつぼ化」を排除するため、学問分野別に細分化されて設けられている学協会の改革を促進します。

229 沖縄振興の推進と沖縄科学技術大学院大学の実現

厳しい経済・社会状況を踏まえ、沖縄振興計画に基づき、自立型経済の構築を目指します。沖縄の魅力・優位性を活かし、観光や情報通信産業を始めとする各種産業の一層の振興、人材育成、雇用の創出などの取組みを進めるとともに、県土の均衡ある発展に向け、離島の活性化、基地跡地利用の促進を図り、さらに重点的・戦略的な社会資本整備等を進めます。また、世界最高水準の教育研究を目指し、沖縄科学技術大学院大学の平成24年度までの開校に向け、「沖縄科学技術大学院大学学園法」に基づき準備を着実に進めます。これにより、沖縄の自立的発展及び世界の科学技術の発展に寄与していきます。

230 博士課程学生に対する支援強化及び若手研究者の活躍促進

入学金や授業料免除の対象拡大、給付型奨学金の創設、ティーチング・アシスタント及びリサーチ・アシスタントの充実など博士課程学生への経済支援を抜本的に拡充し、学生全員が安心して学べる環境を整備します。
単なる任期付ではない若手研究者のポストを大幅に増やすとともに、キャリアパスを多様化するため、産業界の研究職や知的財産管理等の研究支援に携わる専門職等での活躍を促進します。公的研究機関等における、ポスドク等を対象とした専門人材育成の取組みを支援し、活躍機会を拡大します。若手研究者が自立して研究に専念できるようにするための新たな研究資金制度として、当該研究者の名前を冠した「冠プロジェクト」を創設します。

231「留学生30万人計画」と学生・研究者の国際交流の積極的推進

「留学生30万人計画」の2020年実現を目指し、国・地域・分野等に留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得します。
わが国の学生や若手の研究者が内向き指向にあると指摘されており、世界で活躍する優れた人材の育成を強化するため、高校生を含む学生の留学機会を拡大するとともに、若手をはじめとする研究者の海外研讃の義務づけや機会の大幅拡大を推進します。世界水準の教育研究活動を展開するためには、海外から優れた研究者を受け入れ、協働で研究活動に取り組むことが不可欠であり、奨学金の充実や受け入れ機関の体制整備、周辺の生活環境の整備等を推進し、優秀な留学生や海外からの研究者の受け入れを大幅に拡充します。

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以下は,みんなの党のアジェンダから教育部分を抜粋

【みんなの党2010】=====

みんなの党のアジェンダ

Ⅱ 世界標準の経済政策を遂行し、生活を豊かにする!

「生涯安心」「誰でも安心」のセーフティーネットを構築し、生活崩壊をくい止める

2.「子ども手当」を地域主権の観点から抜本見直し

①民主党政権で開始された、バラマキ重視の「子ども手当」は少子化対策という観点から抜本的に見直し、地域主権の観点から自治体の創意工夫による現物給付と現金給付を車の両輪とした政策体系に転換。
②子育てしながら働ける環境づくり(待機児童ゼロ、保育ママ・病児・一時保育の拡充、育児休暇取得の円滑化、職場の意識改革など)。
③幼保一元化の推進。
④幼児医療の無償化(若年層の負担軽減)、不妊治療費の助成拡大、小児緊急医療体制の拡充や、総合的な少子化対策を実施。
⑤地域の実情にあった少子化対策を行うため、中央集権的なやり方ではなく、地方自治体の裁量を大きくし、地域ごとに柔軟に対応できる仕組みに。
⑥高校、専門学校、大学等の高等教育への奨学金制度の拡充(出世払い・返済不要型の活用など。)
⑦以上の施策を実現するため、権限・財源・人間を地域に移譲する。

引き出し(選択肢)の多い教育を実現する

1.教育は現場の市町村、学校現場に任せることを基本とし国の役割は最低 限の教育水準の維持にとどめ、それぞれ地域の実情に合わせたユニークな教育をおこなう。

2.教育基本法に従って、基礎教育・公教育を充実させる

①教育の機会均等のためにも、教育基本法に従って、公教育の建て直しを充実。
②教員免許制は維持。
③少人数・体験・個性重視の教育を実現。
④手に職を持つ教育、生き抜く教育のため、芸術・文化・スポーツ・武道などを重視。
⑤国際化時代にふさわしい人材を育成するためには英語力の向上が必要であり、学校教育において英語力を図る尺度として、TOEFLなどを使用する。
⑥学習時間の確保と学力の向上を目指す。
⑦大学入試を、上記にあわせ抜本改革。
⑧教員の質と数を充実。いじめや不登校等の問題に対処するスクールカウンセラーも全校配置。
⑨親の貧富で教育格差が広がらない環境整備。高校、専門学校、大学等の高等教育への奨学金制度の拡充(出世払い・返済不要型の活用など。既出)
⑩公務教職員の政治活動を全面禁止。

3.学校を地域社会に開放する
学校を地域社会の核に。学校経営も保護者、住民、教育専門家などを入れた運営委員会で実施。

みんなの党の成長戦略

3.中期的、長期的な視点での新たな成長戦略
(4)業種横断的な産業育成策(科学技術以外)
– 2 質の高い労働力を確保する

<教育の抜本強化>

○教育の最終的な責務は国にあるという認識のもと教育を抜本強化する。具体的には、教育基本法に沿って、教師の資質を高め、教育力の向上を図り、学習時間の確保と学力の向上 を目指す。世界に通用するたくましい日本人を育てる。

○「ゆとり」が「放縦」とならないよう基礎教育・公教育を充実させる。
・義務教育段階での読み書き計算の徹底と道徳教育の教科化
・少人数・体験・個性重視。理系離れへの対応。手に職を持つ教育、生き抜く教育等を重視。
・自国や他国の歴史や文化を正しく学び、愛国心や郷土愛を学校教育の中で育む
・教員の質と数を充実。
・教員の政治活動を全面禁止
・親の貧富で教育格差が広がらない環境整備。高校、専門学校、大学等の高等教育へ奨学金制度の拡充(出世払い・返済不要型の活用等)。

○学校を地域社会に開放する。公立中学、高校の水準を向上させる。また、何でも学校がやるという考え方から家庭の役割、地域の役割も考えることも必要。

○大学を競争にさらし、研究機能とともに、教育サービス機能抜本強化。
・東大の民営化など(再掲)。産業と大学の関係を更に密接にする必要がある。産業のサー ビス機関としての大学の位置づけも重要。

○優秀な研究者や学生が国境を越えて能力を高め活躍する機会を拡大
最先端のイノベーションを実現するには、国内にこもらず、世界の優秀な人材との交流・切磋琢磨が必須。現状の日本の問題は、①国内の大学が魅力に乏しく外国の研究者・学生を 集められない、②一方で、日本人学生は内向き志向が強まり海外留学者数は減少。
・アジア域内での大学単位の相互認定、(従来の量的目標設定を超えた)留学生拡大施策の 推進など。

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以下は,日本共産党の政策集から教育部分を抜粋

【日本共産党2010】=====

I、大企業の利益と内部留保が国民のくらしと日本経済に還元される経済システムに――“ルールある経済社会”を築きます

6、安心して子育てできる社会に。国の責任で総合的な子育て支援を進めます

子育て支援は、仕事と子育ての両立、経済的負担の軽減、「子どもの貧困」の解決など、“子育てがしにくい”という日本社会のあり方への総合的な取り組みが必要です。

(1)子育てと仕事が両立できる社会をめざします

人間らしく働けるルールをつくる……残業規制の強化など長時間労働の是正、育児休業制度の改善、妊娠・出産にともなう不当な解雇や退職勧奨、不利益な扱いをなくす、若い世代に安定した雇用を取り戻すなど、子育てしやすい働き方、賃金・労働時間を保障することが大切です。

待機児解消、保護者の負担軽減に……保育所に入れない待機児は5万人。認可外施設やベビーホテルなどに預けられている子どもや保育所への入所を希望している潜在的な待機児童なども含めると100万人近くになるとされています。待機児童を速やかにゼロにするために、当面一年間で10万人分、3年間で30万人分の保育所を国の責任で整備します。それとともに保育士の待遇改善、保育料の負担軽減などのために、年間4000億円程度の財源を確保し、保育制度を充実させます。建設費あわせて、幼稚園の授業料の負担軽減や、希望者全員が入れる学童保育をめざします。

政府・厚生労働省は保育所の面積や職員配置などの国の最低基準をなくし、都道府県の条例にゆだねる「地方主権」改革で規制緩和をねらっています。保育所に対する市町村の義務をなくして保護者と保育所の「直接『契約』・自己責任」にする、保育料に「応益負担」を導入する仕組みに変えることも検討しています。保育への公的責任を後退させ、負担増や格差をもち込む大改悪を中止させ、公的保育を守り、充実させます。

子ども手当を口実とした庶民への増税に反対する……政府は、子ども手当を理由にして、配偶者控除や扶養控除の廃止による増税をねらっています。生計費非課税の原則を踏みにじる増税には反対します。

(2)子どもの医療費負担軽減を拡充します

小学校入学前までの子どもの医療費制度を国の制度として確立し、そこに自治体独自助成を上乗せできるようにして医療費負担軽減を拡充します。

(3)教育費負担の軽減・無償化をすすめ、子育ての不安をなくします

子どもを持つ上での不安のトップはどの世代も、「経済的負担の増加」です(内閣府調査)。なかでも教育費の負担は重く、高校入学から大学卒業にまでかかる費用は子ども一人当たり平均1007万円、教育費は年収の34%にのぼり、年収200〜400万円の世帯では48.3%に達します(日本政策金融公庫調査)。高校も大学も無償化していくことは、国際人権規約で定められている世界のルールであり、ヨーロッパでは教育費負担がほとんどかからない国が少なくありません。日本共産党は義務教育、専門学校をふくむ全ての段階で教育費の軽減・無償化をすすめます。

高校教育費の無償化をすすめる……今春始まった「高校無償化」をさらに前進させ、私立高校が入学金等の負担が重いことを考慮に入れ、私立高校も無償化をめざします。当面、年収500万円以下の世帯の無償化など、現行制度の拡充をはかります。低所得層への交通費等の支援の制度をつくるとともに、「無償」措置の年限制限などの不合理な制度を是正します。不登校の子どもの学習への公的支援を強めます。国際条約に基づき朝鮮人学校など外国人学校に無償化措置を適用します。

大学の高学費を軽減する……国公立大学の学費を引き下げ、私立大学の授業料負担を減らす「直接助成制度」をつくります。国公私立の区別なく、年収400万円以下の世帯への学費免除を実施する制度をつくります。各種・専門学校へも学費負担軽減をすすめます。国際人権規約(社会権規約)第13条の高校と大学の「学費の段階的無償化」を定めた条項の「留保」を直ちに撤回します。条約加盟国160か国中、この条項を「留保」しているのは日本とマダガスカルだけです。

給付制奨学金の創設など奨学金制度の改革で支援を強める……国の奨学金はすべて無利子に戻すとともに、卒業後の年収が300万円以下の場合に返済を猶予する制度を確立します。滞納者を個人信用情報機関に通報する「ブラックリスト化」を中止します。就学が困難な生徒・学生のため、返済不要の「給付制奨学金」を創設します。給付制奨学金制度がない国は、先進国のなかで、授業料無償のアイスランドを除けば日本だけです。

(4)就学援助や児童扶養手当を拡充し「子どもの貧困」の克服に力をつくします

政府が昨年11月に公表した子どもの相対的貧困率は12.2%、ひとり親家庭では54.3%にもおよびます。国として貧困の実態調査をおこない、当事者や支援団体の協力も得ながら貧困の解決のための体制を整備します。

生活困窮世帯の子どもに給食費・学用品などを援助する「就学援助」は、その役割はますます重要になっています。ところが政府が2005年に準要保護世帯への国庫補助を廃止したために、支給額や基準を切り下げる自治体も増えています。国庫補助を復活し、拡充へと転換します。児童扶養手当の増額、支給基準の拡大をはかります。児童福祉施設の生活と進学保障の充実、児童相談所の体制強化を緊急にすすめます。

III、国民の権利を大切にし、民主主義が花開く社会をめざします

4、すべての子どもの成長発達を支える教育に転換します

どの子どもにも、十分な教育を受けて成長発達する権利があります。そうした教育の保障こそ平和で豊かな社会を築くカギです。ところが日本では、「世界一高い学費」のもとで貧富の差による教育格差が広がり、過度の「競争」や非人間的な「管理」が子どもの成長を歪めています。この異常さは国際機関も厳しく指摘しており、その転換は国民的な課題です。

ところが民主党政権は、全国いっせい学力テストの実質存続、「日の丸・君が代」強制続行など、これまでの教育政策を基本的に引き継いでいます。今春の「高校学費無償化」などの前向きな施策でも、私立高校の重い負担などの新たな格差や矛盾をつくりだしました。これらの大本には、憲法や子どもの権利条約の精神に反した「日本国教育基本法案」を「教育政策の集大成」とする同党の姿勢があります。

私たちは教育格差、「競争」や「管理」などの歪みをただし、子どもたちが「わかった!」と目を輝かす授業、子どもの声をじっくり聞いてあたたかく接する先生――そんな教育が全国どこでも行なわれるようにします。

(1)教育費の負担軽減・無償化をすすめます

憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障し、教育基本法は「すべて国民は…経済的地位…によって、教育上差別されない」(第4条)としています。その立場から、乳幼児教育や義務教育の保護者負担の軽減、高校の私立を含めた無償化・負担軽減、大学や専門学校等の負担軽減をすすめます。(詳しくは、一の6「子育て支援」参照)

(2)教育予算をOECD加盟国並に引き上げ教育条件を整備します

OECD加盟国で最低水準の教育予算を早期に平均(GDP比5%)まで引き上げ、全国共通に保障すべき教育条件を国の予算でしっかり支えます。教職員を増員・正規化し、国の制度として「30人以下学級」を実施します。特別支援教育の改善など条件整備を進めます。「私学の自由」を尊重する立場から、私学助成を増額し、公私間格差を是正します。大学を疲弊させている「基盤的経費」の減額をやめ増額し、基礎研究や若手研究者支援などを拡充します。図書館、社会教育施設を拡充し、専門職員の配置を進めます。

(3)教育の自由と自主性を保障し、子どもの豊かな成長を支えます

上意下達の学校運営をやめ、教職員、子ども、保護者等の参加と共同で学校を運営できるようにします。授業準備もままならない「多忙化」の解消、自主的研修の保障等で教員の力量向上を支えます。充実した授業ができるよう、学習指導要領の法的拘束力をなくし、内容も国民の英知を集めて改めます。教科書の検閲的な検定をやめ、採択に教員や父母の意向を反映させます。基本的人権を大切にする市民道徳の教育を重視します。いじめのもみ消しを根絶し、子どもの命最優先の学校をつくります。子どもの気持ちを無視する「不登校ゼロ」政策をやめ、不登校の子どもの学びと自立を支援します。

(4)競争とふるいわけの教育をあらためます

「点数をあげるため先生が正解を教える」「テスト対策ばかりで授業の質が低下」などの弊害をもたらしている「全国いっせい学力テスト」を中止し、どの子も放置せず全ての子どもに基礎的な学力を保障する体制をつくります。高度に競争的で子どもの成長を歪めている高校や大学の入試制度を改革するため、国民的検討の場を設け、改革に着手します。

(5)憲法と子どもの権利条約に基づいて、教育の制度と法律を刷新します

教員免許更新制、教育活動の数値化など教育の条理に反する制度を見直し・廃止します。硬直化した教育委員会制度を民主的な制度に刷新します。意見表明権など子どもの権利を教育のあらゆる場で保障します。「君が代・日の丸」の強制、侵略戦争の美化の公教育への持ち込みに反対します。教育への国家的統制を進める改悪教育基本法を、憲法と子どもの権利条約に基づいて再改正するための国民的討論を進めます。

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以下は,公明党のマニフェストから教育部分を抜粋。

【公明党2010】=====

教育安心社会の実現

変動の激しいこれからの時代、すべての子どもたちが充実した人生を送ることのできるよう、教育の“ 負担の安心”と“質の安心”に取り組み、「教育安心社会」を実現します。 まず“負担の安心”では、「教育は未来への先行投資」として幼児教育の無償化など、教育費の負担軽減に最優先に取り組みます。また、自然体験学習の拡充、職業教育の充実など、教育の“質の安心”を保証します。

教育費負担の軽減
●少子化対策の充実を図るため、小学校就学前3年間の幼稚園・保育所・認定こども園等の幼児教育の無償化を進めます。
●子どもの豊かな成長、健康の増進、人格形成にプラスとなる食育推進の観点から、公立小学校給食の無償化を実現します。
●高校実質無償化法の成立を受け、従来の奨学金に加えて、入学時に必要な経費などについて、給付型奨学金の創設など低所得世帯の生徒を対象とする修学支援策を行うために要する資金を各都道府県に交付します。

職業教育を学校教育の柱に“若年者雇用問題の早期対応”
●学校教育法を改正し、「職業教育」を目的条項に位置づけます。
●企業の人事担当経験者や多様な職業経験者を一定の研修を経た上で職業進路指導担当(キャリア・カウンセラー=仮称)として認定し、小・中・高の各学校段階に配置します。
●職業教育の充実を図るために、高校や大学において職業体 験学習やインターンシップを単位として認定します。

新卒未就職者対策“大学卒業後3年間は新卒扱いに”
●大学卒業後3年間は在学生と同様に大学の就職支援が受けられるよう、関係省庁の連携による積極的な対策を促しつつ、大学の就職支援機能や体制の強化など環境整備を行います。
●企業側に対して、卒業後3年間は新卒者扱いとなるように、新卒要件の緩和を求めます。

世界で活躍する人材の育成“100万人の留学生を海外派遣”
●グローバル化する社会で活躍する優秀な人材を育成するため、「留学支援プログラム」を策定し、今後10年間で100万人の日本人学生を留学生として海外へ派遣します。
●日本人学生の留学を支援するため、給付型奨学金の導入、奨学金対象枠の大幅な拡大、外国政府等の奨学金による海外留学の円滑実施など、公的留学制度を抜本的に拡充します。

子どもの豊かな心を育む自然 体験学習の拡充
●子どもの豊かな心を育むために、すべての小学生に1週間以上の農山漁村での自然体験学習を実施するなど、「子ども農山漁村プロジェクト」の大幅な拡充に取り組みます。
●子どもの自然体験学習を実施する農山漁村の“地域コミュニティー”の再生を図ります。

文化・芸術、スポーツの振興
文化・芸術は、すべての国民がゆとりと心豊かな生活を実現していく上で、必要不可欠なものです。そして、わが国のこれからの発展を考えるとき、文化・ 芸術の果たす役割は大きなものとして、期待されています。 また、スポーツの振興は、人々の健康増進や活力に満ちた生活の実現、青少年の健全育成、高齢者の生きがいづくり、人々の交流促進など、その果たす役割は、ますます増大しています。
公明党は、文化・芸術とスポーツの振興に積極的に取り組みます。

文化・芸術の振興
●地域の実演芸術(音楽・舞踊・演劇等の舞台芸術)の活性化を図る「劇場法」(仮称) の制定をめざします。
●質の高い展覧会が全国各地域で安定的に行われるよう、展示美術品の損害を国が補償することで海外等からの美術品の借り入れを円滑にする「美術品国家補償制度」を導入します。
●「子どものための優れた舞台芸術体験活動」を拡充し、全ての小中学生の舞台芸術の鑑賞機会を義務教育期間中に3回以上に増やすなど、小中学校における文化芸術教育の一層の推進に取り組みます。

スポーツの振興
●国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため「スポーツ基本法」の制定をめざします。
●生涯スポーツ社会の構築、国際競技力の向上、スポーツ観戦など、スポーツ振興政策を総合的に進めるため「スポーツ庁」の設置をめざします。
●障がい者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、必要な環境整備を進めるとともに、障がい者スポーツの一層の振興に取り組みます。

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以下は,社民党のマニフェストから教育部分を抜粋。

【社民党2010】=====

再建05 教育 貧困の連鎖を断つ

・学級生徒数は、20人をめざし、当面、30人以下学級の早期完全達成をはかります。
・就学援助の対象を高校までとして充実・強化をはかります。高校入学金・授業料の原則無償化、私学助成の充実により、家庭条件による教育機会の格差を縮小します。高校に進学しない未成年者に対する助成制度を設けます。奨学金は給付型を増やします。
・「改正」教育基本法と、教員免許更新制などを導入する教育3法を抜本的に改正します。
・教育予算を他の先進国並みの対GDP比5%水準に引き上げます。

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以下は,国民新党の政策集より教育部分を抜粋。

【国民新党2010】=====

I 国土・国益を守り抜く 伝統・誇り・価値の継承

1.正しい歴史、文化、道徳の継承
故小渕首相の「富国有徳」の精神に学び、見失われている民族共同体としての核である歴史観を再生し、日本の正しい歴史、言語、伝統文化を教科書でしっかりと教えます。
教育の機会均等の為、高校教育の無償化の継続と奨学金の充実を図ります。また自衛隊、海外青年協力隊、福祉施設などの社会貢献活動への参加を若者に奨励してゆきます。

IV 小泉・竹中改革の抜本的見直し 格差の解消、地域の再生

2.仕送り減税の創設・奨学金制度の拡充
大学等の高等教育機関が偏在している現状、親元を離れて大学等に通学する子等を有する世帯の負担は重く、この事が教育の機会にも影響を及ぼしているとされています。国民新党はこのような子弟を持つ家計を支援することにより、当該世帯の負担の軽減を図り、教育の機会均等と地域全体の活性化を図ります。

4.子育て環境の強化
小泉、竹中改革の中で、就労と子育ての両立に悩む小さな子供を抱えた家庭は長い間、置き去りにされてきました。しかし少子化対策の為にも格差社会の解消の為にも、仕事をしながら安心して子供を育てられるように、子育て環境を一刻も早く整えてゆく必要があります。国民新党は待機児童対策の一層の推進や病児保育の充実など、男性も女性もいきいきと仕事が出来、家族を大切に出来る様な仕組み作りを進めてゆきます。

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以下は,新党改革のマニフェストから教育部分を抜粋。

【新党改革2010】=====

■待機児童対策、少子化対策に効く子ども手当
●民主党の目玉政策として、子ども手当がありますが、そのバラマキ政策の効果は大いに疑問です。月26,000円では、養育費や教育費をまかなうことはできないし、子供のために使われているかを確かめることは出来ません。少子化対策の必要性は論を待ちませんが、子ども手当があるから、子供を作ったという事例はどのくらいいるでしょうか。
●より目の前に差し迫った課題として、待機児童の問題があります。幼稚園や保育が増設されていますが、不況で稼ぎに出るお母さんが増えたこともあり、全く間に合いません。待機児童数は、2007年4月の17,926人から、2009年10月には46,058人まで拡大し ています。
●待機児童解消のための幼稚園・保育園の増設、費用の無料化の検討を通じて、バラマキ政策ではない、少子化対策の再構築を図っていきます。
●議論の結果、子ども手当を残す場合には、1人目は13,000円、2人目は16,000円、3人目は20,000円、4人目は26,000円という形に、子供を多く作るインセンティブを与える制度に改善していきます。

■「詰め込み教育」と中高一貫教育
●優秀だった日本の子どもの学力低下は、「ゆとり教育」に原因があります。現在、「脱ゆとり教育」が進められ、円周率は3.14に戻り、台形の面積の出し方が教えられるようになりました。
●「脱ゆとり教育」をさらに進めて「詰め込み教育」を行い、優秀な日本の子どもを取り戻します。ここで言う「詰め込み教育」とは、子どもの学習進捗に合わせて、現場で柔軟に学習内容を決めることができる教育です。
●現在の教育制度では、各学年で学ぶ内容が定められていて、学習意欲があっても、上の学年の勉強はできません。子どもの学力の伸びを押さえつけてしまっています。「詰め込み」という言葉のイメージはあまり良くありませんが、ここで言っているのは、子どもの要求に合わせて、どんどん学習出来る教育を実現することです。効果的な「詰め込み教育」のため、中高一貫教育制度の導入を進めていきます。

■グリーンツーリズムや環境教育
●日本には、豊かな国土、自然環境、自然と一体となった農村・漁村があります。田舎に行けば、こうした自然が「当然ある」という感覚は、都会に住む人間の無知、あるいは驕りといっても過言ではありません。自然は、田舎の人が長い時間をかけ、丁寧に維持してきました。その重要性を認識するには、自らがその中に飛び込み、自然との共生の大切さ、自然環境保護の難しさを肌で学ぶことが最短です。
●豊かな国土、自然環境、安全な食糧を守るための農林水産業の役割を認識し、日本人が長年にわたって培ってきた環境保全の知恵を受け継ぐため、グリーンツーリズムや環境教育を促進します。そして、国民が地球規模の環境保全に貢献しているという豊かな気持ちを得られる社会に変えていきます。

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学びへの視野

 授業や研究の仕込みのために文献をひっくり返している。

 学校での「学び」あるいは学習というものが,方々で論じられたり語られているのを見るにつけ,「こんなにも学習に関するの知見というものは共有されていなかったのか…」と感じることが多くなった。

 これがプロパーな世界に生きている人間のダメなところなのかも知れない。世間からズレてしまった自分の認識や常識を見直し続けるのは,なかなか大変なことなのだと思う。

 ネット上で話題になった記事が幾つかある。

 20100203「学校の授業を19世紀(工業化社会)型から21世紀(情報化社会)型に変えてしまうTime To Know」(TechCrunch)

 20100430「なぜいま「21世紀型スキル」の教育が必要なのか? – インテルに聞く」(マイコミ)

 つい最近もこんな記事が公開された。

 20100508「「21世紀型スキル」とは何か」(教育家庭新聞)

 こうした記事が書かれ,話題にされているのを見ると,いま求められているスキルの全体像が変わっているとみんなが気にしていて,そのことをある程度認めているか,認める空気があるんじゃないかと感じる。

 ただ,どんな前提を下敷きにこうした話題を受容しているのか,一様ではない。

 もしかしたら,過去や現在まで進行してきた学校教育は水で洗い流すように消して,空いたところに,何か新しい21世紀型の学習というものが置き換えられなければならないという考えで受け止めているかも知れない。

 今後,私たちの行動や決断のレベルでドラスティックなものを要求される場面がないとは言わないが,これまでの学校教育や学習の在り方を捨て去って転換しなければならないという考え方は,あまり妥当な考えではないと思う。

 ところが,専門家同士でさえ,どうも誰かが「新しい学び」だの「21世紀スキル」だの「情報知識社会における新しいツールの導入を」とぶち上げると,「それは現場にそぐわない」とか「ごまかし言葉である」とか「誰かに踊らされてる」とか,拒否反応に近い意見まで飛び出してくる。売り言葉に買い言葉は,正直うんざりだ。

 今までやって来たことを足場に,新しい流れが生まれたならきっちりフォローしていくこと。

 この単純なことが,いままでの学校教育で出来ていなかったのであれば,それを素直に反省し,責め立てずに新しい道を一緒に模索していけばよいことである。どうも,そのことが私たちに一番欠けているようだ。

 学習のメタファー(学習の喩え)に関するとても有名な論文がある。

 Sfard, A. (1998). On the two metaphors for learning and the danger of choosing one. Educational Researcher, 27(2), 4-13.

 英語論文(ちなみにヘブライ語版もあるそうな)ではあるが,学習に関して大きく2つメタファーがあることを整理した部分は,あちこちでも紹介されている。「獲得メタファー」と「参加メタファー」の2つである。

 ただ,Sfard女史が論ずる重要な主張は,こうしたメタファー(喩え)による学習の捉え方だと対立構図(獲得メタファーよりも参加メタファーの方が良さそうだったりする)に陥りやすいけど,何か一通りのメタファーを選んで全体を捉えるようなことは危険だから止めましょうということである。
 

 この論文は,教育や学習を論じたり語ったりすることは大概の人間に出来る事ではあるが,論じたり語ろうとする自身の言葉に対して,どう向き合ったり,距離を置いたり,紡ぎ直したりするのか,その態度や作法について個々人が自覚的でなければならないことを示唆しているように私には思われるのである。

 ただ,日本の場合,一度作り出された世論のうねりのようなものは恐ろしい。

 特に感情や感覚をベースにしたものは,どこか一方的に特定の見方をかき消してしまう力を持ってしまう。

 そうなると,どうしても戦闘姿勢に陥ってしまうのも無理はないのかも知れない。

 本当は,平成20年度学習指導要領を検討していた教育課程部会の審議まとめの話や,構成主義の学習論についても書こうかと思ったのだけれど,相変わらず時間切れ。

 そうやって没になったブログのエントリーがたくさんある。

 ああ,やっぱり歳をとればとるほど,使える時間が短くなるようだ。

 さて,続きは授業で語るとしよう…。

地方で起こっていること

 四国での生活も2年目に突入。何もしない間に時間だけが過ぎてしまっているが,とりあえず元気に過ごせている。

 最近,地元の愛知県の名古屋市で,市長と議会の衝突が話題となった。それ以前から,各地には名物知事や首長が登場し,地方からの改革と称した動きが活発化していたが,とうとう首長と議会の問題にまで改革の触手が届いてきたというわけである。

 2000年に入ってからの一連の行政改革の動きと教育改革との関係性を理解するためには,どうしても行財政に関わる理解が必要になっていたし,教育基本法の改正といった一大事もあったので,教育法規に対する理解も深めなければならない時代となった。

 けれども,この10年の間に,教育行財政に関する議論や教育法規に関する理解が高まって,学校教育現場にその成果が届いたというような話はほとんど聞かない。

 どちらかといえば相変わらず「振り回されて疲れました」「ほっといてください」という今どきな声が現場からあがっているようにも見受けられる。だからといって,学校教育現場に関わる人間もまた行財政や法規に関する知見を踏まえたというわけではなさそうだ。

 昨年,堀和郎/柳林信彦『教育委員会制度再生の条件』(筑波大学出版会2009.6/3900円+税)という研究書が出版された。

 学校教育現場に最も近い教育行政組織でありながら,その内実は見えにくく,その必要性も疑われ続けてきたのが教育委員会であるが,そこに調査のメスを入れて実証的に分析して見せたのが上記の本である。

 すでに一般向けの書物として古山明男氏の『変えよう! 日本の学校システム』(平凡社2006.6/1600円+税)が,教育委員会とそこに置かれた事務局およびその長である教育長の存在について紹介するなどして,複雑な権限分散システムが前向きな教育改革の取組みを阻む元凶になっていることなど一部で話題になった。(ちなみに古山氏は「熟議カケアイ」サイトで積極的に書き込みなどして活躍されている。)

 先の書は,教育長の存在が,教育委員会もしくは教育改革の進展にどう寄与しているのか,という興味深い問題設定を行ない,データにもとづいた分析を試みている。その他にも教育委員会の運用実態であるとか,首長との関係性に焦点を当てた分析も用意されている。

 ちなみにこの研究で,教育長の態度志向パターンを3つに分類しているところが興味深い。曰く,「問題解決志向」「首長一体志向」「自己利益志向」である。もちろん,この他にも交流パターンや職務遂行パターンなどの変数が加わって分析が試みられている。

 こうした研究成果が注目されることや,否応なく突き進むこの国の地方分権化の流れを考えれば,私たち国民もしくは市民がもっとも注視し,影響力を行使しなければならない対象が「地方」に存在することは明らかである。

 ところが実際には,この「地方」というものがほとんど省みられてこなかった。

 都会に軸足を置くような大マスコミを中心とする報道・言論の世界では,地方の問題は見える現象を紹介するくらいが関の山で,その問題解決のために必要なローカル情報はほとんど取り上げられない。地方においても,地方新聞といったローカルマスコミが元気なところでない限り,自分たちの住む土地の行政がどうなっているのかは,ほとんど知られていないのが実際ではなかろうか。

 こうした状況を変え始めたのは,タレント知事や名物首長の存在と活動であったと思う。乱暴な言動や派手な演出が話題になることも多いが,おかげで地方の在り方に光が当たり始めた。そうした様々な出来事から考えても,「地方」を動かすことが物事を動かす出発点であることは間違いなさそうだ。

 今後,どのような教育的議論・取組を行なう際にも,国家と地方自治の関係を行財政・法規の視点から大雑把にでも理解していくことが重要である。現場では,これまで校長・副校長・教頭レベルで求められていたような知識であるが,今後は一般の教職員もこうした知識を深めていなければ,高まる市民の知的水準に追随できなくなる。

 昨今は教育法規に関して『図解・表解 教育法規』(教育開発研究所)といった見やすい資料が発売されているが,『教育法規便覧』(学陽書房)くらいの範囲が見渡せる情報に触れておくと良いかも知れない。

 地方自治に関する文献は様々あるが,村松岐夫氏の『テキストブック地方自治 第2版』(東洋経済新報社2010)は版が新しく,「教育」についても一章分設けている点から,最もおすすめの概論書である。同様な文献として佐々木信夫氏の『現代地方自治』(学陽書房2009)も地方自治の内側を掘り起こしながら簡潔に整理している良書だと思う。

 地方自治の仕組みについて理解を深めたならば,あとはお金の動きを追いかけるのが最も効率的である。これらのテキストで地方財政の関する解説を読み,たとえば『図解 自治体財政はやわかり』(学陽書房)にような概説書を覗くことから始めると,国の財政と地方の財政との関係などが少し見えてくるし,教育にだけお金が回らない仕組みも少し見えてくる。

 名古屋で巻き起こっている議論のあるべき決着の形は,正直なところ私には分からない。現在の首長と議会の仕組みが,首長に有利というものもあれば,議会が議決権を持っているから首長劣勢だと考える人もいる。

 けれどもどちらも市民の代表者。日本がとった「二元代表制」の仕組みがあって,それを生かしているのか殺しているのかが問われていたりする。首長が暴走してもダメだし,議員があぐらをかいていてもダメ。どちらも住民の意思を汲み取り動いてもらわなければ,損をするのは市民である。

 同じことが教育の分野でも起こっているのだろう。権限が分散した事情は複雑で理不尽だったかも知れないが,いずれも教育に奉仕する立場のはずである。もっと前向きに取り組んで欲しいが,あるいはそのためには私たち市民あるいは国民がそう仕向けるための圧力をしっかりとかけていく必要があるのかも知れない。

 そのためにも「地方」という足下へのルートを開けておく必要がある。

イベント準備

 3月28日(日曜日)にiPad/iPhone教育利用の集い「iのある教育と学習」を東京初台オペラシティ32階にあるセミナールームで開催することになっている。

 それは1月28日あたりにアップル社の新しいタッチデバイスであるiPadが発表されたことをきっかけとして,iPadを学校現場に持ち込みたいと私がツイート(Twitter上の書き込み)し,様々な人々が反応してくれたことに端を発している。

 最初はオンライン上で協力し合えればよいかなと漠然と思っていたが,それだと盛り上がりが雲散霧消してしまうだろうことは経験的にわかっていたので,少なくとも最初は何か物理的に集うイベントが必要だと考えた。

 ならば,教育関係者向けにiPad発表内容をリピートしてもらおうと,アップルジャパンにお願いしてみることにした。どうせ会場も必要だろうから,AppleStore銀座のシアターを借りる手続きも始めてしまおう,そんな風に準備が始まった。

 林檎マークの会社と長らく付き合っていると,その行動規範のようなものも分かってくるし,最悪の事態もある程度想定できる。駄目元でお願いすることから始めたので,交渉中は緊張感もあったが同時に気楽でもあった。交渉は紆余曲折あって,当初イメージした形とは変わったものの,結果いろんな方々のおかげでイベントを開催する目処が立った。

 それにしても林檎マークの会社は,変な会社である。いい意味でも悪い意味でもストイックな姿勢を貫いている。そこが好きでもあり嫌いでもある。ただ,それは何かに似ているのではないか。そうだ,学校教育だ。多くの人々に強烈な影響を与えているくせに,ある程度インビジブルであろうとする。そして好きだと言う者もいれば嫌いだと言う者もいる。なるほど,私が林檎にシンパシーを感じるのはそういう理由なのかも知れない。

 これまでご一緒したことのない方々にも協力をいただくことができたのは,インターネットとTwitterがあったからこそだ。そしてUstreamがイベントを全国や世界の皆さんに届けるのに力を貸してくれる。本当の意味で「新しいご縁」を生み出すことに,これらのツールを活用できることを嬉しく思う。イベントを機に参加者同士の出会いも生まれるといいなと思う。

 黒子に徹しようと考えているが,呼びかけといて何もしないわけにはいかないので,最初のご挨拶や趣旨説明と資料くらいは用意しようと思って作業している。あとはイベント進行のために動くのが私の役目。そして,第2弾,第3弾をご一緒してくださる方を見つけて,流れを繋げていくことが大事だと思っている。

 おかげさまで,事前登録だけでも70名以上の参加表明をいただき,あと当日飛び込んできてくださる方を期待すれば,100名弱の皆さんとご一緒できる予定である。さらにUstとTwitterでイベントを見届けてくださる方を含めれば,そこそこの規模だと思う。扱うテーマと開催地,そして協力してくださる皆さんのネームバリューのおかげだ。

 こうした動きと学術的な世界を,うまく繋ぎ合わせられると,より可能性も広がるだろう。次回以降,私が表舞台を踏む機会が訪れたら,いろいろとお話しできることもあると思う。

 まだまだ,たくさんの人たちに出会わなければならない。ひとところには留まってられないなと思う。

世紀の越境からゼロ年代の教育行政記

 イベント用の資料をつくるにあたって私自身の見落としがないかどうかを確認する意味も込めて小川正人著『教育改革のゆくえ ――国から地方へ』(ちくま新書2010.2/777円+税)を読んだ。

 駄文でも教育制度や教育法規に関する知識が今後ますます必要になることは繰り返し述べてきたところではあるけれども,この本は,20世紀末から21世紀・ゼロ年代あたりの日本の教育行政の仕組みと起こった出来事を綴っており,制度と法規がどのように運用されたのかが分かる内容となっている。学校教育現場を振り回している教育改革の中心部がどんな風に動いていたのかを知るには手ごろな書である。

 ジャンルとしては教育行政学であるし義務教育周辺に焦点が当たっているので,たとえば教育基本法改正,学習指導要領のはどめ規定見直し,高等教育政策など,その他多様なトピックスや議論については触れられていない。この本が,当時の教育改革の全てを扱っているとはいえないまでも,確かに書名にある「国から地方へ」という大問題を考えるには十分な材料である。

 さらに,この本の執筆が政権交代して間も無い頃であったことも関係して,事業仕分けの話や教員養成課程の見直し議論などについて十分言及がされていない。民主党政権の教育改革は,まさにこれから始まろうとしているのだから,それも当然かも知れないが…。

 

 幸い,この新書が扱っている範囲で自分の認識が見落としているものはなかった。けれども,いまだ多くの一般市民がこのような新書に描かれている事情や変化について知っているとは言い難いようだ。

 これからは個々人がこうした事情を理解して学校教育に関わっていかなければならない時代になっている。特に教育が専門ではない分野の人々にも鳥瞰図を理解してもらい,効果的な方法で教育分野に関わってもらう必要がある。

 もちろん,直裁的に関わる人もいれば,面倒な部分を回避して関わる人もいるだろう。それは個々人のアプローチだから選択に口出しするつもりはないけれど,全体としてそれぞれが自分の立ち位置をおおよそ把握しておくことは大事だ。

 たまに全国の教育ニュースを収拾してTwitterで流しているのだが,そうした作業の中岳でも日本全国の地方の実態が様々であることはわかる。と同時に,地方分権の難しさも感じる。

 もっとこの問題にいろいろ斬込んでくれる人たちを増やさないと…。