東京暮らしでスッカラカンになって,その後も低空飛行で貧乏暮らしが続き,海外に出かける事がほとんど無かった。何度か仕事で海外視察の声もあったけれど,どれも実現せず,国際シンポジウムでの発表の誘いを受ける形でようやく久し振りの海外だった。
今回,9年ぶり2度目の韓国。しかし,前回は数日釜山に連れていってもらっただけ。ソウルを始めとした他の都市を訪れるのは初めてなので,ほぼ初めての韓国旅行に近い。実際,韓国一人旅は初めてだ。
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まっさらなパスポートに久し振りの出国スタンプ。
本当なら韓国語会話の勉強をもっとすべきだったのだが,ハングルの読み方で足踏みをしていたので,基本会話もままならないまま現地を訪問する事になった。まぁ,外国語は度胸と愛嬌,そしてジェスチャーである。
仁川国際空港に降り立ち,税関審査を抜けて出口に向かうと,外には国際シンポジウムのサインを持った女性が2人。「コタツ・リン先生ですか」と日本語で聞かれ,「はい」と答えた時の安堵感。韓国滞在はそうやって始まった。
そこからバスでシンポジウム会場であるホテル・リヴィエラのある大田へ。
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前回の海外渡航は,iPhoneもスマートフォンもなく,通話は国際携帯を借り,ネット接続はホテルの回線を期待するしかなかった時代だが,いまやiPhoneはそのまま国際ローミングに対応し,LTEのWiFiルーターも安価に借りられる。バスの中でも地図アプリで現在地を確認でき,滞在中は翻訳アプリで言葉を調べられるのであるから,隔世の感がある。
語学がハングルで足踏みしていたのは悪い事ばかりでもなく,文字の形には慣れてきたので,見たままをキー入力する事はストレスがなかった。そのため滞在中はiPhoneの韓国語キーボードをONにしたまま,Google翻訳アプリに韓国語を入力しては日本語に直す事を繰り返していた。意味が分かると嬉しいので,それは結構楽しい作業だった。
ネットには韓国情報が溢れているのだが,日本から韓国へ旅行するにあたって大変参考になったのが「コネスト」という韓国旅行情報サイトであった。
日本語による韓国旅行関連情報を何から何まで網羅している感があり,地図サービスまで展開しているのは驚いた。それがまた本当に役立つから有り難い。
LTEルーターやホテルの予約をコネストのサービスで利用したりもした。
海外渡航するにあたって,インターネットというのは本当に役立つのだなと改めて実感した次第である。もっとも,韓国のネット環境は恵まれているから利便性が高いのであって,もしも他の国であれば,ネット環境が整わずここまで役立つかどうか分からない。
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国際シンポジウム期間中は日本語対応スタッフさんたちのおかげで不安もなく過ごす事ができた。
初日の夕食だけ自分でとらなければならず,かといってマクドナルドへ行ったら負けだと思ったので,現地の餃子鍋屋さんでほぼジェスチャーと簡単な英語だけで注文しようとしたのは大変だった。こういう時は,あまり好き嫌いがない食嗜好が幸いする。
とうとうシンポジウムが終わると,鉄道移動しながら一人で韓国国内の旅。大田から大邱,大邱から慶州,慶州からソウルへと訪ねる。
今回訪問した場所を地図にプロットすると,そこそこ移動したのだなと思う。一つ一つの滞在時間は短かったのだけど,アドバイスに従って動き回ったのは楽しい経験となった。最後の方は,言葉のハンデも忘れて,結構滞在が楽しくなった。
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念願のソウルも街歩きを堪能し,恒例の書店めぐりも果たした。7日夜は清渓川での「ソウルピッチョロン祭り」にたまたま遭遇し,8日は市庁前広場の「ソウルブックフェスティバル」の準備風景も眺める事ができた。
明洞ではAppleプレミアムリセラーであるFrisbeeというお店も発見し,これまた偶然にも以前から気になっていたワープロソフト「Hancom Office ハングル」の最新マック版を見つけ,迷わず購入した。Hancom OfficeはWindows版がメインのソフトウェアだったのだが,昨年末にマック版が登場していたらしい。
そうやって街歩きばかりしていたら,もう空港へ行かないとまずい時刻。お土産をじっくり探して買う余裕もなく,仁川国際空港行きの列車に乗ってちょうど間に合うくらいの時間に搭乗口にたどり着いた。お土産は空港で慌ただしく購入。そのまま関西国際空港へ飛んだ。
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腹八分の気持ちの良い状態で韓国渡航すべての日程を終えた。
再度出かけたいという気持ちが生まれたのは良かった証拠である。今度は韓国語会話を少しでも覚えて,もう少しコミュニケーションのある滞在をしてみたい。
表面的な景色は,韓国も日本もよく似ていた。その似ている部分のおかげで滞在中の振る舞いも困る事が少なかった。しかし,見えない部分の深層では,いろいろ考え方が違うという事もなんとなく垣間見えた。その辺についてもまたいろいろ学べたらと思う。