事が始まる前に

 本来,今の段階でも私が何かを発してはいけなくなっていると思うのだが,この段階で何も書き置くことなく事態に突入するのは,建前は正しくても,私らしくないと思えるので,書くことにする。
 

 明日から「ある仕事」の関わりを始める。

 その仕事を依頼してくれた皆さんとお会いすることになっているのであり,私の中では,そこが実質的な立場の切り替え機会になる。

 その仕事に関する情報を明確に発することができるかどうかは,関係者の皆さんに確認して,許される範囲で試みたいと考えている。

 その範囲がどの程度かは定かでないにしても,一つハッキリしていることは,私の立ち位置が変わるということである。

 具体的には,いつもの調子で気楽に批評を加えるだけでは済まないということになる。当事者の一人になるわけであるから,第三者的に振る舞えないのは当然である。

 そして私は,そのお仕事をできるだけ批判に耐え得るようアドバイスして,内部補強する形で「守る」ことを目指さなくてはならない。それが可能なのかどうかはやってみなければ分からないが,努力はしたい。

 たぶん問題山積なのだろうと思う。

 こうした仕事に満足の行く部分がわずかでもあれば幸せな方で,あとからあとから非難や批判が積み重ねられて辛いことの方が普通なのだろう。

 なので,私は,最初から別の目標を立てることにしようと思う。

 考えていることは漠然としたものばかり幾つもあるといった感じだが,顕在的な大きな目標よりも,潜在的な隙間の問題を拾い集めて考えていこうと思っている。たとえば,仕事にかかわる人たちのコミュニケーションの問題に焦点を当てるだけでも,いろんな問いが浮かび上がりそうだ。

 他の人たちが注視してくれるところは,私が気にしても仕方ないので,私は私なりのスタンスでその仕事を捉えて,内外に還元していこうと思っている。もちろん,仕事における本来の役目を全うするのは当然。

 その仕事に関わるのは私一人だけではない。多くの人たちが関わっている。その中で,足並みを揃えなければならない部分は多い。

 そのことが,私自身の中の葛藤としてどう生起するのかしないのか分からないが,そのこともちゃんと考えて成果に反映させていければなと思うのである。

 私がここに書き置きたかったのは,確かに私の立場は大きく変わるし,それゆえに私の言動が変わって見えるところもあるかも知れないが,私は私であるし,制約や関係性の中でも私なりの試みを展開したいという意気込みである。それを忘れないように記しておきたかったのである。

 私から失礼やご迷惑をおかけしている皆様も多いけれども,そのような状況と,私の生来の不徳のせい。どうかご容赦を。

 そして,これから起こることをこっそりとお楽しみいただきたいとも思う。