議論のために意識しておきたいことは先回書いた。
その後,デジタル教科書教材協議会の設立シンポが開かれ,私自身もUstreamで会の進行を見ることができた。
協議会設立シンポ自体は,登壇者の持論という部分では目新しいものがあったわけではないが,今後の前向きな取り組みを期待させる雰囲気のよいものであったと思う。元東大総長であり協議会の初代会長となった小宮山氏の見識も,この会の方向性をよい方向に導いてくれそうだったことが好感につながっている。
—
さて,丁寧な議論が必要である一方,現実を動かすためのアグレッシブな取り組みも同時に必要であることは,明らかである。
私が議論のために慎重さを求めると「懐疑派・否定派・抵抗勢力」側に立つと思われやすいのだが,実際のところ物事の実現のためには結構積極派でもある。
要するにブレーキとアクセルを1人のドライバーが操作するのと同じ事。私は教習所の教官的にブレーキだけ踏む人ではないのである(もちろんそういう役回りが必要なときもあるが…)。
—
というわけで,私の周りにあった「点と点」を結びつけることで,いくつかの取り組みにチャレンジすることにした。
まずは,9月の日本教育工学会でワークショップの場が提供されるのであるが,そこで「タッチデバイスの教育利用」というテーマのワークショップを開催することとなった。夕刻の90分だけだが,学会以外の皆さんにも参加していただける企画である。ワークショップという名前は,あまり気にしなくてもいいと思う。あれこれご一緒に考えましょうという感じで十分。
次に,デジタル教科書教材協議会の実証実験に参加表明することになった。実は,この分野に関心のある人々の中に,私の地元である愛知県尾張旭市とゆかりのある関係者が3人いて,Twitterで意気投合してしまった。ならば,来年予定されている実証実験やモデル校をやるのの協力をしようということになった。9月の学会は名古屋であるし,自分の出身地のためと思えば力も入る。
そして,有志が集まった「みんなのデジタル教科書教育研究会」で,ネット番組による交流,情報発信をしてみてはどうかと提案した。文字だけのコミュニケーションだけだと,どんどん敷居が高くなったり,難しくなったりしがちだが,ざっくばらんに「しゃべる」機会を短くとも定期的に持つことで,会の活動の刺激にもなるのではないかと思った。そのお手伝いをする。
—
こうやって,議論のためのプラットフォームづくりや活性化を通して,デジタル教科書の実現に貢献することも大事だと考えている。モデル校や実証実験にも関われれば研究者として本望だ。
いろいろなことがうまく展開するよう頑張ろう。