月別アーカイブ: 2012年7月

きっと最後だというのに…

 この週末,特別に研究合宿に参加させていただいた。

 関連分野の人々と時間を過ごすのは久し振りだし,様々な話を聞いたりしたのも久し振りだった。一方で,自分のことはあまりよく伝えられなかった。伝えるものがあったのかもよくわからなかった。

 むしろ,自分がかなり無鉄砲にやっていることを確認した時間だった。

 いま,私自身は何をやっているのだろう。

 関心の赴くままに,あれこれを調べて眺めてつぶやいて。

 普通の人よりは何かを分かっているのだろうけれど,本当のところ何も分かっちゃいないから,どこかに焦点化することもしていない。

 そういう自分の状態のことはよく分かってはいるのに,どこかのピースとしてはまることよりも,こぼれ落ちる方を好むようにマインドが凝り固まってしまっていて,自分でもどうリセットすべきか悩み続けているというのが正直なところなのである。

 この界隈の寅さんを気取るのは,元気なうちや面白がられているうちはいい。けれども,それで残せるものは何もないのだということも痛いほど理解をしている。

 しかし,もう生き方がそうなのだろう…どちらかといえばコミュニティからはみ出てこぼれ落ちることがアイデンティティになってしまったところがあって,それ以外の立ち居振る舞いがうまくいかない。

 今回の研究合宿のお誘いは,そういう私を見かねての助け船なのだと思う。

 空回りしてこぼれ落ちていく知見の断片じゃ使いようもないのだから一緒にもっとうまく出してみないかと,呆れため息をつきながらも手招きをして声を掛けてくれている。

 一緒にやるのがいやとかそういうことではなくて,気がつくとはみ出てこぼれ落ちようとする自分を抑えることができるのか自分自身に不安が募る。すぐ幽体離脱して,物事をメタ的に眺めようとする悪い癖を我慢できるのか,それが本当に分からない。

 会話の場面であれば,黙ることで抑制できる。最近,学会で質問しなくなったのも黙ることではみ出さずに済むからである。でも頭の中はそうはいかない。勝手に心離れてしまうことだってある。実際,それで迷惑をかけたことがなくはない。

 自分がうまくはまるのか。それが正直よく分からないのである。

 でも分からないというのは,研究者としてどうよとも思うのである。

 たぶん,最後の助け船だろうと思うだけに,そして自分の悪癖を分かっているのだからこそ,なんとか自分の問題関心を焦点化して何か寄与したい。

 そう焦るほどに,根源的な問いという悪い癖も顔を出しやすいのだけど…。

 原稿を書くにしても,何か授業内容を考え出すにしても,誰かの話を吟味するにしても,「そもそも論」がいつも私をどこかへ連れていってしまう。

 その題目に使われている言葉の定義は何なのか…という問いや,この事業が始まる以前にはどんな歴史があったのだろうと出来事を日付レベルで遡り始めたりとか,指導方法や教育内容をつくるといってもその場合の指導方法というのは手順の話なのか技法の話なのか,教育内容はスケジュールの話か,予想される活動
含んだ展開の記述か…,そもそもカリキュラムとは何ぞやとか。

 私がどこかのコミュニティの文脈に依存すれば,たぶんこうした問題はすぐさまクリアされて,先へ進めるのだろうし,皆さんはそうしているのだろう。でも,コミュニティからはみ出して,寅さん状態で放浪すると,脱文脈化されて断片が集積してもこぼれ落ちてしまうのだと思う。

 もちろん,文脈に依存するとなれば,どこのコミュニティやグループの文脈を採用するのかという選択問題はある。

 そして,たぶん私はそこを閑却した状態でこの世界を過ごしている。

 だから師匠たちへの恩返しもできなければ,同期との縁も薄れるという結果に陥るのだとは思うのだけど,それもこれもたぶん自分自身が招いている事態なのだから反省をするしかない。

 この助け船を無駄にしないよう,しばらく試行錯誤することになると思う。

 毎日の生活も仕事も,もう一度ちゃんと見直さないと。

 という自分の駄文自体が,どうにももうメタ的で相変わらずなのがいやになる。

 

デジタルデータ整理

 宿題が溜まっているというのに,歯医者に行って親知らずを抜くことになったり,受け損ねた健康診断を外部で受けなければならなくなったりと,慌ただしい。

 しかもこんなときに限って,掃除がしたくなるもので,今回はデジタルデータの渾沌が気になってしまい,バックアップ用のハードディスクをひも解いてみたら,調子が悪い。

 仕方ないので他のディスクの空き領域に分散して退避(これがまた渾沌を生むのだけれど…)して,ハードディスクを消去することにした。

 まぁ,これがギガ単位のデータだから,退避するだけでも時間がかかる。明らかに重複しているデータもあるが,いちいち検証する時間もないから,とにかく大事そうなものを優先的に丸ごとコピーするの繰り返し作業だ。

 そんなことをしていると改めて,これからの時代,自分のデジタルデータを管理・保存・消去する術を心得ておかないといけないなと思う。

 死後,自分のデータを消去することができるというサービスがあるとも聞いているが,それにしたって何を消すのか消さないのかを決めておかなくてはならないわけで,なかなか大変。

 デジタルデータなんかになっているものは所詮は虚像であると考えて,全部消えればいいという考え方もあると思うが,歴史的な記録というものは,そういう考え方では残ることができないわけで,なんとも厄介な時代になったと思う。

 ビッグデータがどうの,個人情報がどうのというレベルの問題も確かに大事だが,私たちが歴史から学ぶのと同じように,未来の人々が歴史から学べる条件を確保しないと,何でもかんでも二次的なまとめ情報で済ましたら,間違った記録を訂正する機会を永遠に失いかねない。

 ミスプリントした印刷用紙だけが残ってしまわないように,アーカイブの素養を一般人も身に付けておくことを考えなければならない。

平成二十四年文月三日

 今月は東京滞在から始まっている。

 そもそも週の後半にブックフェアや電子出版EXPOがあるので受け持ち科目の情報収集のために出張を予定していたが、前半にも会議の予定が入って,結局5日間の滞在の予定に切り替えた。

 2日は「ICTを活用した先導的な教育の実証研究に関する協議会」が開催されたので傍聴した。

 フューチャースクール推進事業における地域有識者として徳島県の東みよし町立足代小学校の担当になって3年目。この最終年度をもって私の任も解かれることになるのだけれども、関わった以上はそう簡単に終われるわけもなく、担い事も増えてきている。そんなこともあって,改めて親会の雰囲気を伺いに来たというわけである。

 今回の協議会では,総務省の事業レビューで出された廃止判定に対して副大臣や政務官からコメントがなされ、判定結果は真摯に受け止めながらも事業については継続する方向であることが確認された。(関連記事

 自由討論では,デジタル教科書開発の技術的課題やユニバーサル・デザインへの配慮の必要性などが指摘されたり、BYOD(私物デバイスの持ち込み)といったあり方についても考えることが提案されたりした。

 また事業や成果についてもっと情報発信したり、分かりやすく紹介する必要性も言及されたし、一般財源として地方に配当されている情報化予算が完全に執行されていない問題についても徹底を求める発言もあった。

 また,この事業用に開発しているデジタル教科書を他の学校でも使用できるようにして欲しいという要望に対して,現在準備中であるとの情報も得られた。ライセンスは余分確保されているので,実証校と同様な環境を用意できる学校に対しては研究協力を条件に使用を認めることができるようにはなっている。

 そんなこんなで,協議会自体は和やかに進んだというか、両省合同会議として必要な情報交換は行なわれたのではないかと思う。

 私個人は,文部科学省の方で裏方仕事をお手伝いすることになったので,そのことに関して,担当者の方とご挨拶できたのと、WGリーダーの先生からアドバイスをいただいたりした。

 それに関する会議が4日にあるので,また文部科学省にお邪魔する。

 本日3日は,財団法人教科書研究センターに附属している教科書図書館に訪れた。この図書館には過去の検定教科書・指導書はもちろんのこと,主な国々の教科書・指導書や研究所が収集所蔵されている。現在は高校教科書の検定結果も公開されている。

 開館日が週の前半である月曜・火曜・水曜だけという特殊な条件なので、週末寄りが多い出張ではなかなか訪れられない場所であった。今回は絶好のチャンスだった。

 教育関係のあらゆる文献があるわけではない。しかし,教科書という軸で収集された文献類は,逆に教育の歴史を追う者にはすっきりとした使いやすさも感じられた。

 教科書研究センターが発刊した研究報告書があり,それらは見やすい場所に展示されて値段がつけられている。在庫があるものは上の階にある事務室で購入することもできる。私も目ぼしいものを選んで購入し,ついでにセンター通信もしばらく送っていただくことにした。

 というわけで,いつもの調子で閉館時間まで粘って,あれこれ文献を眺めたりコピーしていた。ちなみにコピーは1枚30円なので要注意。

 教科書研究センターは江東区にあって,私は東陽町駅からバスに乗って最寄りのバス停を利用したが、帰りはバスで錦糸町駅まで移動した。

 雨の日だったが,センター近くから東京スカイツリーが見えたので,この機会にスカイツリーの膝元にあるショッピングモールのソラマチでお茶でも飲もうかと思い行ってみることにした。

 錦糸町駅から押上駅は一駅。そこからそのままソラマチに接続しているのであっという間に新施設の中へ。

 何かコーヒーが飲める場所はないかとさまよっていると,休憩所のような雰囲気のスペースがあった。近づいてみるとフローズンヨーグルトとソフトクリームのスイーツが楽しめるお店。しかもセルフサービスだという。新しもの好きの血がうずいて,さっそく体験してみることにした。

 量り売りなので、カップに好きなだけフローズンヨーグルトやソフトクリームを流し込んだり,フルーツやトッピングを加えることができる。

 いろんなフレーバーがあるので迷ったが,テキトーにフルーツやソフトクリームを流し込んで出来上がり。ちょっと盛り過ぎたので価格に跳ね返り,1200円ほどのぜいたくスイーツとなった。

 ところが,食べてみると美味い!いやはや,初めてのソラマチ体験としては,なかなか良いものとなった。

 そんな風に遊んでいたら仕事メールが届いていることが判明。スイーツを食べながらノートパソコンを開いて出先で返信。落ち着かないから,ちゃんとした返事になっていないけど…。

 明日4日は夕方に会議。それまで,午前中はお台場行ったり,午後は渋谷の周辺に出没する予定。さて,頑張ろう。