月別アーカイブ: 2005年9月

タイムスリップ

 正確な英語表現はtime-warpなのだが,そこはヘンテコ和製英語の強み,この一週間はまさに時間をすべったような日々だった。先週の木曜日の非常勤講義が終わってから時間の経過をほとんど感じず,明日はまた木曜日。
 秋休みのおかげで,研究会に出かけたり,家に閉じこもって勉強したりできる。こんな幸せなことはない。このまま秋休みがいつまでもいつまでも続けばいいのにと思いさえする。出来れば来年の今頃まで秋休み希望。幸せな時間に対する時間感覚はいつでも短い。だから気がつけば,一週間後の非常勤もびっくりするほど早く巡ってきたわけだ。
 もっとも,あれこれ手を出していると日程調整も難しく,肝心の学会大会に出席できず味噌を付けたが,仕方ない。わが野望のためには,若干の犠牲も覚悟しなければ。
 後期に始まる非常勤先も,とうとう4年目。その前にお世話になっていた非常勤先も4年をめどに区切りをつけたので,もしかしたら今の非常勤先もそろそろ卒業かなと考えてみる。流れのない水が淀むように,長く繰り返すとマンネリ化しかねない。わりと情報収集はマメで最新情報は反映しているつもりだけれど,そうと思っているのは本人ばかりってこともあり得るので‥‥。そんなことを考えているときに,別の大学の先生から電話。非常勤講師をお願いできないかというラブコールだった。

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宴の終わり

 あちこちの現場はそれぞれに盛り上がっていることだろう。連休最終日,名古屋は秋晴れ。強い風が吹き抜けてはいるが,そのおかげで上空の雲が洗い流される。万博会場も元気いっぱいにぎやかなことだろう。
 今年3月から開催されてきた愛・地球博が本日閉幕する。厳しい前評判にもかかわらず次第に入場者数を伸ばし,目標を大きく上回る成果を上げたようだ。大なり小なり,様々な興味深い取り組みや催しも行なわれ,まずまずの結果として評価されるのかも知れない。
 当然私たちの関心は,物事の始まりだけでなく,物事の終わりにも向けられなくてはならない。環境博と銘打ち開催された以上は,終幕後の環境への配慮がどのようになされるのか,興味津々である。私の最寄り駅であり,会場への交通機関リニモの乗換駅でもある藤が丘では,さっそく明日からリニモ待合いスペースを取り壊しにかかる。しばらくは万博の後片付けに付き合わないといけない。

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東京に寄り道

 昨日は職場で成績書類の提出やら,情報メディアセンターの仕事やら片付けて,家に帰る途中に東京に寄り道した。とても面白そうな公開研究会が開かれるというので,数日前に参加申込したからだ。寄り道に時間がかかるけど。
 で,そのお話もしたいし,お礼のメールも書きたいのだけど,今日はこれから非常勤先の講義があるので,また帰ってきてからゆっくりご報告とメール書きをしたい。なんかこうパターンで溜まっている宿題がいっぱいあるような気が‥‥。(追記:なんとか研究会の報告を書きました)

電子書籍マーケット

 職場での仕事を早々に済ませ,東京に出かけた。とある公開研究会に出席するためだ。研究会催しの告知がある度に,参加したいと予定を調整するのだが,授業やら校務などとぶつかって,結局参加できないことが多かった。
 研究に携わる上では,やはり他者とのコミュニケーションも必要だ。多くの人の関心がどの辺にあるのか,別の立場での見方はないか,自分の考えている問題意識は妥当かどうかなどを確かめるには,研究会という場でやりとりしてみなければわからないものである。
 私が住む東海圏だって,もちろん様々な研究会が催されている。ただ,私の関心を引くものは圧倒的に東京で催されることが多い。学生時代だと,時間はあれど東京へ行く資金がなかった。社会人になると,資金はあれど,時間がなくなった。しかし幸い,時間は調整ができる部分もある。なるべくそういう研究会に参加したいというのが私のモットーだ。
 そして今回参加したのはLearning bar@Todai「未来の教科書はどうなるの!?」という公開研究会だ。東京大学の中原さんら情報学環BEAT講座が催してくれていて,ざっくばらんにテーマに関する最新動向を知り,意見交換しましょうという趣旨の研究会だ。開始時刻も夜7時から。夕方早くに名古屋を出れば,間に合う時間だ。

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我が日本語堅苦しきなり

 ご縁をいただいて執筆することになった原稿を,推敲し終えて,なんとかメールで送信した。推敲したといっても,正直言えば,原稿そのものをもう一度捨てて書き直した方がいいかなと思うのだが,また捨てる時間は残されていなかった。
 最初のものだって,わかりやすく書こうと思って綴り始めていたが,丁寧に説明すればするほど,どうも文章密度が濃くなって堅苦しい文面になるらしい。それに筆の進み方ものろのろ。
 何度か白紙に戻して,読む人の気持ちになってみる。のだが,どうも平均的な読者をイメージするのが苦手な上に,今回のテーマもまた私にとってみれば幅広くて,どこに焦点を当てるべきか大いに迷う。
 テーマについて関心のある読者が,パッと私の書いた部分のページを開いたとき,そこに何が書いてあると「面白そうだ」と感じてもらえるだろうか。もっと理論的なことだったのかな。それとも具体的な事柄だったのかな。現状に発破をかけて欲しいのかな。あああ,こんなことなら編集責任者様に聞いておくべきだった。
 結局,自分が作り出さなければならないテーマでもあるので,これを良い機会に自分なりの研究を深めていくことにしよう。それにしても,駄文なら,つらつらと書けるのだけどなぁ‥。

シンプルなドラマ

 実はこの時期までテレビドラマの世界では教師や教育関係にちなむドラマがいくつも放映されていて,巷の話題になっていた。「金八先生」「ごくせん」「女王の教室」「ドラゴン桜」などなど,もちろん学校を舞台としたドラマはスポ根ものを含めてまだまだたくさんあった。
 テレビっ子だった私も,いまじゃ半分「テ〜レビくん,さよな〜ら」状態なので,これらのドラマをリアルタイムに見てはいない。話題にすっかり乗り遅れているといったところだ。
 ただ,「女王の教室」と「ドラゴン桜」は妙に世間の話題をさらっている。しかもこれまでとは違ったトーンでだ。少しばかり気になっている。「ドラゴン桜」については,先日の駄文で紹介した『AERA』9/19号で巻頭記事に取り上げられる等,受け止められ方は伺い知れた。
 一方,「女王の教室」は,ドラマスタート時の予告で興味は持っていたのだが,なかなか実際の放送は見られずじまい。ただ,ありがたいことにストーリーの流れをダイジェストしたものが女王の教室公式Webサイトに掲載されているので,おおよその雰囲気を楽しむことができる。

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校内LANを無償でいかが

 教育の情報化が国の方針として進められているのだが,計画の目処である2005年度末(2006年3月)が近いにも関わらず,学校内のLAN整備が遅れている。ぼちぼち駆け込み整備をしているところも増えているのかもしれないが,すべての学校に整備するという目標からすれば,推進関係者の焦りは大きい。
 教育情報化推進協議会のページでは,選定された50校に校内LANを無償で整備する「校内LAN整備加速化パッケージ」を計画し,8月末から学校募集をしていた。ところが応募締め切りは9月23日で,連休明けて数日しかない。たぶん各学校に募集書類は送付されたのだと思うが,知らない学校があったとしたら残念である。
 提供されるのはルータ,無線LANのアクセスポイントと端末用カード(20〜50枚),50台分接続ライセンス付きWindows2003 Serverが入ったサーバマシン,サーバ設定ツール,作業支援費10万円だそうだ。無償である代わりに導入事例として紹介されるモデル校になるのが条件。その他にも応募の条件がある。
 いずれにしても国による助成措置は今年度末まで。昨年度のうちに予算措置をしていなかったところが急に目覚めて対応するかどうか苦しいところであるが,来年度以降の助成は設備ではなくコンテンツへと移行するため,校内LAN整備に関しては今のうちになんとかした方が良いだろう。
 まあ,有線ではなく無線LANでネットワークを構築するというならば,助成を見逃しても導入出費はある程度抑えられるのかもしれないが,学校教員の職場環境の改善を真剣に考えるなら,有線だろうが無線だろうが今年度中に整備していただきたいものである。それから教員一人ひとりにパソコンの配布もね。

教育コンセンサスへの努力

 日本の教育に対する日本人自身のコンセンサスが大きく欠けている。この欠如によって,教育改革は迷走状態を続けているし,学校現場は落ち着かないし,教師は振り回されているし,保護者は不信感を募らせ続けている。
 たとえば書店には,藤田英典氏による『義務教育を問いなおす』(ちくま新書2005/900円+税)が出回っているが,この意気込みを詰め込んだ分厚い新書が,どれだけの当事者の手に届けられたのだろう。恥ずかしながら,私も中身を読み込めていない。いやしかし,藤田氏は同様な主張を8年前と5年前にも充実した内容で上梓している。ところが,日本の教育議論がそれらをベースに進展してきたなんて話は露とも聞いたことがない。
 日本で賑やかなのは,今夜も「NEWS23」で特集されていたが,北欧のどこぞの国の教育がどうだこうだの土産話。『ヨミウリウィークリー』9/25号は,特集「「学力低下」の真犯人」で,保護者世代が学校教育を受けた1970年代と今日を比較すれば教育への不安や不信は当然だろうとして,意識調査の結果において社会格差容認派と否定派の捉え方に差異があることを紹介している。「AERA」9/19号のトップ記事は「ドラゴン桜」のお話といった有様。
 議論の材料を提示したり,得ようとすることは大事なことではあるが,この代わり映えのしない方法論の神通力は,とうの昔に解体している。そのおかげで今日の混沌状態なのだから。

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旅気分吹っ飛ぶ

 韓国・国際会議出席の旅の余韻を書き記す余裕もなく,帰国した途端に職場のサーバトラブルや実習指導訪問のための事前面接アポイントの問い合わせと,慌ただしい。おまけに職場の同窓会事務局のお手伝いを依頼されて夜も9時過ぎ。帰宅は11時。
 滞在中の駄文でも書いたが,諸外国の研究者とのコミュニケーションについて,私自身いろいろ考えさせられた。「英語」という言語に対するスキル不足も悩ましいが,私たちの意識が異国の地との関係にどれだけ割かれているのかを思うと恥ずかしい気持ちになる。視野を広げるだけでなく,奥深くに入り込む必要もありそうだ。職場の雑事に呑み込まれている場合ではない。
 昨日まで韓国にいたなんて事実も嘘のように,今日はいつもの通勤電車に揺られている。帰路の地下鉄の車内を見回すと,7割の人たちが携帯電話を手前にしてカチャカチャやっている。その風景の異様さを改めて感じることが唯一韓国帰りの証かもしれない。釜山の地下鉄(ソウルの場合は違うのかもしれないが)では,携帯電話を掛けているか,いじっている人は1割にも満たない。日本よりも携帯電話の普及率は高いと自慢する韓国で,である。
 要するに韓国の人々は,自分の意識やエネルギーを携帯電話の小さなディスプレイに,そんなに注いでいないのである。それはもちろんメールとの親和性の程度の違いも影響しているのかもしれないが,それにしてもその風景の違いは明らかだ。同じ携帯電話という道具を持ちながら,その道具に振り回されている人たちと振り回されていない人たち。そのエネルギーの消費先の違いが,国全体の勢いにも影響を与えているかのようである。
 韓国レポートは改めて書くことにしよう。残念ながら優先させるべき原稿書きが待っている。そちらを片付けてから‥‥。

韓国・釜山にて

 韓国は釜山に来ている。滞在しているホテルのビジネスセンターにEthernetケーブルがひょろっと伸びているので使わせていただいている。公衆無線LANサービスもあるようだが,成田ワイヤレスのようにその場で決済できない。

 さて,腰を据えて書くべきことがたくさんある。今回参加した日韓合同・教育メディア国際会議の感想を始め,私自身も海外の方を相手に質疑応答に臨んだのは初めての経験であるから,それについても山ほど反省や考察を書かなければならない。韓国・釜山という街については十分堪能できていないものの,その印象についても書きたい。ただ,ビジネスセンターで短い時間に思索しながら書くのは,ちょっと難しいので手短に。

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