校内LANを無償でいかが

 教育の情報化が国の方針として進められているのだが,計画の目処である2005年度末(2006年3月)が近いにも関わらず,学校内のLAN整備が遅れている。ぼちぼち駆け込み整備をしているところも増えているのかもしれないが,すべての学校に整備するという目標からすれば,推進関係者の焦りは大きい。
 教育情報化推進協議会のページでは,選定された50校に校内LANを無償で整備する「校内LAN整備加速化パッケージ」を計画し,8月末から学校募集をしていた。ところが応募締め切りは9月23日で,連休明けて数日しかない。たぶん各学校に募集書類は送付されたのだと思うが,知らない学校があったとしたら残念である。
 提供されるのはルータ,無線LANのアクセスポイントと端末用カード(20〜50枚),50台分接続ライセンス付きWindows2003 Serverが入ったサーバマシン,サーバ設定ツール,作業支援費10万円だそうだ。無償である代わりに導入事例として紹介されるモデル校になるのが条件。その他にも応募の条件がある。
 いずれにしても国による助成措置は今年度末まで。昨年度のうちに予算措置をしていなかったところが急に目覚めて対応するかどうか苦しいところであるが,来年度以降の助成は設備ではなくコンテンツへと移行するため,校内LAN整備に関しては今のうちになんとかした方が良いだろう。
 まあ,有線ではなく無線LANでネットワークを構築するというならば,助成を見逃しても導入出費はある程度抑えられるのかもしれないが,学校教員の職場環境の改善を真剣に考えるなら,有線だろうが無線だろうが今年度中に整備していただきたいものである。それから教員一人ひとりにパソコンの配布もね。

教育コンセンサスへの努力

 日本の教育に対する日本人自身のコンセンサスが大きく欠けている。この欠如によって,教育改革は迷走状態を続けているし,学校現場は落ち着かないし,教師は振り回されているし,保護者は不信感を募らせ続けている。
 たとえば書店には,藤田英典氏による『義務教育を問いなおす』(ちくま新書2005/900円+税)が出回っているが,この意気込みを詰め込んだ分厚い新書が,どれだけの当事者の手に届けられたのだろう。恥ずかしながら,私も中身を読み込めていない。いやしかし,藤田氏は同様な主張を8年前と5年前にも充実した内容で上梓している。ところが,日本の教育議論がそれらをベースに進展してきたなんて話は露とも聞いたことがない。
 日本で賑やかなのは,今夜も「NEWS23」で特集されていたが,北欧のどこぞの国の教育がどうだこうだの土産話。『ヨミウリウィークリー』9/25号は,特集「「学力低下」の真犯人」で,保護者世代が学校教育を受けた1970年代と今日を比較すれば教育への不安や不信は当然だろうとして,意識調査の結果において社会格差容認派と否定派の捉え方に差異があることを紹介している。「AERA」9/19号のトップ記事は「ドラゴン桜」のお話といった有様。
 議論の材料を提示したり,得ようとすることは大事なことではあるが,この代わり映えのしない方法論の神通力は,とうの昔に解体している。そのおかげで今日の混沌状態なのだから。

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旅気分吹っ飛ぶ

 韓国・国際会議出席の旅の余韻を書き記す余裕もなく,帰国した途端に職場のサーバトラブルや実習指導訪問のための事前面接アポイントの問い合わせと,慌ただしい。おまけに職場の同窓会事務局のお手伝いを依頼されて夜も9時過ぎ。帰宅は11時。
 滞在中の駄文でも書いたが,諸外国の研究者とのコミュニケーションについて,私自身いろいろ考えさせられた。「英語」という言語に対するスキル不足も悩ましいが,私たちの意識が異国の地との関係にどれだけ割かれているのかを思うと恥ずかしい気持ちになる。視野を広げるだけでなく,奥深くに入り込む必要もありそうだ。職場の雑事に呑み込まれている場合ではない。
 昨日まで韓国にいたなんて事実も嘘のように,今日はいつもの通勤電車に揺られている。帰路の地下鉄の車内を見回すと,7割の人たちが携帯電話を手前にしてカチャカチャやっている。その風景の異様さを改めて感じることが唯一韓国帰りの証かもしれない。釜山の地下鉄(ソウルの場合は違うのかもしれないが)では,携帯電話を掛けているか,いじっている人は1割にも満たない。日本よりも携帯電話の普及率は高いと自慢する韓国で,である。
 要するに韓国の人々は,自分の意識やエネルギーを携帯電話の小さなディスプレイに,そんなに注いでいないのである。それはもちろんメールとの親和性の程度の違いも影響しているのかもしれないが,それにしてもその風景の違いは明らかだ。同じ携帯電話という道具を持ちながら,その道具に振り回されている人たちと振り回されていない人たち。そのエネルギーの消費先の違いが,国全体の勢いにも影響を与えているかのようである。
 韓国レポートは改めて書くことにしよう。残念ながら優先させるべき原稿書きが待っている。そちらを片付けてから‥‥。

韓国・釜山にて

 韓国は釜山に来ている。滞在しているホテルのビジネスセンターにEthernetケーブルがひょろっと伸びているので使わせていただいている。公衆無線LANサービスもあるようだが,成田ワイヤレスのようにその場で決済できない。

 さて,腰を据えて書くべきことがたくさんある。今回参加した日韓合同・教育メディア国際会議の感想を始め,私自身も海外の方を相手に質疑応答に臨んだのは初めての経験であるから,それについても山ほど反省や考察を書かなければならない。韓国・釜山という街については十分堪能できていないものの,その印象についても書きたい。ただ,ビジネスセンターで短い時間に思索しながら書くのは,ちょっと難しいので手短に。

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成田ワイヤレス

 そんなわけで成田空港に来ている。昔は公衆電話,それから携帯電話にケーブルでつなぎ,最近はPCカードやUSBでPHSか,私はやっていないがBluetoothで携帯を操る人もいるだろう。それがいまは公衆無線LANがあって,お金さえ払えば快適に接続できる。
 すでにどこかの会社と公衆無線LAN契約している人は,自分のアカウントで接続できるだろう。私はまだどことも契約していないので,その場で電波に接続して,1日使用権をクレジットカードで購入して使っている。まったく,インターネットとクレジットカードの組み合わせは,商売人にとっては有利で便利な決済手段だ。私たち利用者にとっても便利と言えば便利だが,こまめにお金を使ってしまうので,いつまでたっても貧乏である。
 これから行く韓国・釜山はインターネット接続環境がそれほど良くないらしい。インターネットカフェとか,それぞれの場所でパソコンが接続はされているようだが,訪問者が気軽に接続できる環境はまだまだのようである。ま,それも本当なのかどうなのか,今回の旅でいろいろ確かめてみたい。残念ながらソウルには行かないので,ソウルの様子はまた次回という感じである。
 それでは,行ってきまーす!! と思ったら,飛行機がちょっと遅れるのだとか。う〜ん。

韓国・釜山へ

 とある国際会議に出席せよとのお達しをいただき,釜山へ出かける。いつかは行ってみたい国であった韓国に,こんなに急に行くことになってしまい。何の準備もないまま明朝から出かける。準備がないのはいつものことだが,せめてハングルを勉強してから出かけたかった。まるでチンブンカンブンなんだもん。

 それにしても海外へ出かけるのは,だいぶ久しぶりだ。もちろん,あっという間につくお隣りの国なのだが,海外は海外。海外で公的かつ国際的な催し物に参加するのはこれが初めてなので,恥や失敗を覚悟でいろいろ学んできたいと思う。いかに自分がローカルな場所に留まって長い時間を浪費してきたか,嫌というほど実感する旅になるだろう。まだまだこれから気を引き締めなくては。

 韓国からの更新は,向こうのインターネット接続環境次第。無事に帰ってこられるとは思うが,一歩外に出たら何が起こるかわからない世の中である。とにかく頑張ってこよう。

台風大変

 台風14号が接近中。何故か東京でとてつもない大雨という報道。あちこち大変である。名古屋の天気は,のほほんとしたもの。ときに土砂降りになることはあるのだが,妙に台風他人事といった風な天候なのだ。それは地震についてもそうだ。東海地方に大地震がくると言われ続けて長いのに,その間によその土地で地震被害が繰り返されている。変な場所だ,名古屋は。
 アメリカではハリケーン「カトリーナ」の猛威によって受けた被害の復旧が進まないようだ。NHKではニューオリンズの街の様子を伝えている。避難勧告が出ていたにもかかわらず避難出来なかった人々にかなりのダメージが出ているようだ。避難できなかったのは何故か。それは避難するための車や資金がなかったからだと説明されている。貧困層に属する多くの黒人達が避難できず,また救助が遅れた理由も人種差別があったとする政府批判が起こっている。
 アメリカの内情がこうした機会に注目を浴びることになったが,それは他人事ではない。東海大震災のようなものがやってきて,多大な被害が発生したとき,迅速な救助がなされるべきであるというのは当然としても,問題はその後の生活である。そこに経済的な格差が浮き彫りになるのではないだろうか。アメリカの貧困層に比べれば,日本の格差はまだ生易しいのかもしれない。けれども,日本社会が勝ち組負け組をくっきりとさせる競争社会に突き進んでいることを,この選挙の時期に考えると,何かしら不安な気分にもなるのだ。
 ま,投票自体は済ませてしまったので,とにかく後は日本社会が良い方向へ行くように,自分の立場から頑張るしかない。

期日前投票

 これから衆議院議員総選挙の投票に出かけようと思っている。もちろん正式な投票日は9月11日なのだが,お出かけする用事があるため,期日前投票制度を利用するわけである。区役所まで行くのが面倒だけど。

 選挙を教育の話題から見ることも出来るのだが,小泉流の郵政色の着色芸が上手だから,どうも盛り上がりに欠ける。その間にも文部科学省は平成18年度概算要求を出して動いていたりして,国政って淡々と進むところとひねりにひねって動くところといろいろなのだなぁとため息。
 今回の選挙で誰に投票するかは,まだ迷っているところだ。国政レベルで考える頭と,実際の候補者が並んでいて地元で投票しているという現実とが混ざり合い,なんとも難しい。
 4年数ヶ月続いた小泉政権に対しての評価ひとつとっても両面ある。4年もの時間の割りには成果が少ない,むしろ悪化しているという考え方もある。一方で,日本全体の空気を少しでも変える時間として4年かかるのは仕方ないのかなという気もしなくもない。確かに足りないところもいっぱいあるが,腰据えて取組ませてあげることも大事かなぁ。
 けれども,民主党にでも政権を変わってもらって,もっと破壊の手を早めてもらうことに期待する手もある。小泉首相が自民党所属のままで破壊活動をしようとしているのは評価できるが,実のところ都合が悪いものは後回しにしていることも確か。だから,民主党に暴れてもらった方が悪制度の破壊も早い。その後の創造に心もとなさはあるが,やらしてみないとわからないし。

 悩みながら区役所へ行くか‥‥。とにかく個人のレベルにおいては,一票を投じることこそ重要なのだから。

君たち男の子

 ふむ,男は孤独なのかもしれない。もっとも人それぞれじゃないかな。小学校の頃から女の子同士と男の子同士の友達との付き合い方や遊び方は,ステレオタイプらしきものがあったし,今でもそれは再生産されているんじゃないだろうか。
 生物的な差異がそれぞれの人間の付き合い方に強い影響を与えている面があることは否定できないし,そればかりでなく個人個人の生き方によって男であろうと女であろうと孤独と付き合うことになる人があれば,他者と和気あいあいと生きていくことができる。だから,たぶんこの話は「そういう傾向がある」って話だろうし,そういう男女観の再生産が依然として働いていることの確認になるのだろう。
 この話題のもうひとつ興味深い側面は,男の孤独っていうものが「頼りがいのある存在」という強さ関することとして語られるのではなくて,「一人寂しい存在」としての弱さや苦しさのこととして語られることが,顕在化したっていう点である。その表裏が逆転したというか,強さの代表は「出産をする女性の頑強さ」に奪われてしまったというか。
 それはどこから始まったのだろう。男達が軟弱化したという80年代的な社会の雰囲気に乗じて現れてきたのだろうか。あるいは陰謀論的にいえば,フェミニズム論者達の牙を抜くためにどこからか流布された似非女性頑強論であって,それに誰もかタダ乗りしてしまったということなのだろうか。あるいは男性的なものの象徴である経済好景気がバブル崩壊によって崩れ去ったことによる,お父さん達の元気のなさによって実体化したそれなのか。
 男の子がパソコン通信的というなら,女の子はインターネット的という感じ? 確かに女子学生たちを見ていると,グループを上手に組んで学生生活を送っているし,そうかと思えばグループ再編も目まぐるしかったりして,気がつけばまた違う顔ぶれで集まっていたりする。孤独な私は,そんな環境においてはさらに孤独な男子なのだが,パソコン通信がインターネットメールできるようになってます的な付き合い方で,なんとか生き残っているという感じだ。
 仕事に追われていたり,熱中するものがあるときには,男だろうと女だろうと孤独が隣りにいるものさ。そういうもんじゃないかな。

長月にようこそ

 9月となった。今日から授業再開なのだが,ちょうど授業のない日だったので,自宅で仕事をする。こんな感じがいいのである。研究者なんだから,どうか誰も怒らないでね。

 日曜日の東京出張は,またしても刺激的であった。とある研究プロジェクトでクリエイターに仕事を依頼することになっているのだが,その打ち合わせの場というものに初めて参加した。もちろん,その風景自体はごく一般的な話し合いやディスカッションのようなもので,特別なものではなかったが,複数の人間で創造的な仕事をするのはとても久しぶりだし,プロの方とご一緒するのは初めて。メンバー的にもざっくばらんに意見の出し合える雰囲気だったので,少々脇道に入り込んだり,話が膨らみすぎるという楽しいハプニングはあったものの,良い感じにスタートできそうだった。

 職場の方は,悩みの種が相変わらず多くて,てんやわんや。自宅にいると携帯電話に否応なく問い合わせが入る。判断できる人がいないから仕方なく電話掛けてくるのはわかるけれど,何でもかんでも所属長に問い合わせればいいってものじゃないのになぁ。何かに手をつけるというのは,そういうのを覚悟することとはいえ,もっと現場判断できるスタッフが欲しい。

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