投稿者「rin」のアーカイブ

いつか通る道-2

 短大教員としての最後の授業も終え,そして後期定期試験期間も終わり,残すは成績の転記ぐらいの今日この頃。時間的余裕ができそうなものだが,いつものパターンで校務を始めとしてあれこれ雑用が舞い込む。研究室の掃除も悩みの種だ。思い出の品が掘り起こされると感傷的になるし,昔の雑誌など思わず見入ってしまう。
 再度「勉学」という道筋に向かおうとすることに対する周囲の反応は様々。もちろん驚かれることが多い。「まだ勉強するんですか」という声を聞くと,内心「そんなに珍しいことなのかなぁ」と思ってしまう。生涯学習社会と言われてだいぶ経つけれど,浸透具合の程はまだまだといったところか。
 ところで,『中央公論』2006年3月号に,苅谷剛彦氏の論考が掲載されている。「「自ら学ぶ力」べた褒め社会の光と陰」という論題でなかなか興味深い。似たようなことを考えていたから,面白く読めた。

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PC利用と数学成績の相関

 取り急ぎ,発見したWeb記事をご紹介。MYCOM PC WEB記事「PCの利用頻度と数学の成績に相関ありとの報告 – OECD調査」は,OECD PISA2003調査のさらなる分析結果を紹介している。
 記事によるとパソコンの利用頻度や時間が多い国の子ども達ほど,数学の成績がよいという傾向が見られるらしい。そして,いつものように日本の位置なのだが,パソコン利用の調査で最下位レベル(あちゃ〜)。
 しかし,ちょっと待って。
 PISA2003の調査結果が報告されたとき,日本版の報告書『生きるための知識と技能』では,「学習の背景」の部分で「ICTの利用」に関して分析が記載されていた。それを読むと,パソコンの利用と数学的リテラシーの成績は,直接関係しないか,「負」の相関があるかも知れないと書いてあるのである。これはどういうことだろう。
 またオリジナル文書を探して見てみないといけないが,その後の分析によって覆されたということなのかも知れないし,あるいは日本版報告書とオリジナルとでは分析の着目点が異なったのかも知れない。
 情報機器・教材の利用部分では日本版報告書でもいくつかの国の結果をさして「正」の相関があることは指摘されているので,おそらくその部分と関連があると思うのだけど,これは宿題。
 しかしパソコン利用の調査に関するグラフがWeb記事に掲載されているのだが,このグラフのデザインが興味深い。プロットしたデータがらせんを描くようになっている。もっともその中心に近い方の終点に日本が位置しているのが残念だけど。

いつか通る道-1

 仕事を辞める覚悟のことは,21世紀に入ろうとする2000年暮れに書いた「セミコロン」という駄文に記していた。そこから5年の時間が流れて,ようやく現実が追いついたようだ。そうした事態になればなったで,周りの様々なものの動き方が違って見える。
 「一旦辞めることを公言すれば,周囲は待ってましたとばかりに追い出しにかかるよ」と言われた。そんな陰謀めいた事態が本当に展開するのか疑わしかった。だからこの言葉の実相を,現実に退職を公言するまで理解できていなかった。しかし今となっては,本当に周りの動きがそう見えたりする。もちろん,どんな職場にしろ辞める人間を構う暇などあろうはずもなく,次年度の準備の悩みの種が増えたことに対処するのが精一杯。そういう動きが,辞める本人には被害妄想的に見えるだけなのだろう。
 世の中にごまんと溢れるビジネス・コミュニケーション読本の類は,私にはひどく退屈な内容に思えるのだけれども,実際その退屈な内容を真面目に吸収した方がよいと思われるイノセントな人が周りに大勢いる。カチンとくるような出来事があっても,自己感情をオブラートに包んでたしなめるのが大人であろうに,不快感の解消こそが目的であるがのごとく感情に従って口を開くことの浅はかさ。私はあなたの家族じゃないのだ。仕事上の問題点があると指摘したいなら,それ相応の礼儀を伴ったコミュニケーション・スキルを活かして指摘して欲しいものである。
 さてと,まだ山積みの仕事があれこれ。いくつかは〆切オーバーしているものもある。早く処理しないと。

書類づくり

 非常勤先に成績表を提出して(郵送するよりデリバリーの方が早い!),それから本務校に出て,一日中書類づくり。関係者に配布する資料が完成したのは夜11:00頃だっただろうか。久しぶりに車で出勤したので,のんびりドライブしながら帰宅。
 夕食を食べていなかったので,途中,どうしてもラーメンが食べたくなり,開いているお店を探し回る。夜中0:00を過ぎると意外と店は開いてない。若い夫婦がやっている比較的新しいお店に閉店間際のところ初めて入り,担々麺とギョーザを頼んだ。幸い,なかなか美味しかったので満足して店を後にする。明日は朝早いのに,また夜更かしだ。だって,すぐに寝たらブタになっちゃう(わけないか)。
 結局,私の第一弾教員人生は,事務仕事に染まったまま終わりそうだ。

Keep Tryin’

 テレビでauの新しい音楽配信サービスのCMをみて,そのタイアップ曲に思わず引き込まれた。ご存知,宇多田ヒカルの曲だ。私もデビュー後,結婚前あたりの楽曲が好きな初期ヒッキー・ファンといった人間だが,その頃の魅力が久しぶりに戻ってきたという感じである。Webで調べるとその曲は「Keep Tryin’」という曲名。
 曲のテーマは「挑戦し続けることが大事」だという。コンセプトにも歌のサビにもクラッときた。リリースが待ち遠しい。

春からのこと

 本家ページにも書いたように,3月末日付けで短大教員を退職することとなりました。正式なご挨拶はあらためてさせていただきたいと思いますが,とにかく春からは何かしら学徒になる予定です。
 こうしてWeb上で公表すると唐突に見えるかも知れませんが,現実の日々は平穏に進行していて,仕事の後始末や引き継ぎ作業などでちょっと賑やかというところです。
 といっても,今回初めて事態をお知りになる関係者の方もいるかも知れません。ごめんなさい。ご迷惑をおかけする部分は,今後の努力でお返しできるように頑張ります。とにかく3月までは現職ですので,最後まで全力投球です。

睦月31日目

 なんとか1月を終える。相変わらずあれこれあるので,じっくり駄文を書く暇がないが,もう一踏ん張りすれば余裕も出てくることだろう。いずれにしても,今年の出だしは順調だ。この調子で一つ一つの歩みが着実に蓄積されればいい。
 1月のBEATセミナーの様子がWeb上にアップされていた。今回の出席では,おとなしくしているつもりだったのに,なぜかまた堂々と写真に写っている。なんか怒られてシュンとしているみたい。というか,いい加減しゃしゃり出るのはやめておきなさい!っていう感じかな。でも,楽しいからまた行こっと。

睦月29日目

 非常勤先の授業評価アンケートに対するフィードバックを書いていた。設問の集計結果はおおむね良好だったのは嬉しいが,学生による授業評価の限界のようなものも感じずにはいられない。本当に講義は満足できるものだったのか。
 昨年公開されていた他の先生方のフィードバックを見たことがある。いろんなスタイルがあって楽しかったし,中には学生による授業評価の有効性について手厳しく書いたものもあった。科目や担当者によって評価結果は様々だろうし,学生による授業評価がいつも役立つとは限らない。あくまでも常日頃の授業改善の努力があって,それを補強するためのツールなのだなと思う。
 本家ページに手動でRSSフィードを作れないかと思って試してみた。rssファイルを更新するのが面倒だが,とりあえずindexページの分だけでもタイトルと出だしを配信できることを確認。本家ページの更新をRSSリーダーなどでチェックしたい人には便利だと思う。どうぞご利用ください。これで教育らくがきの主要コンテンツ(本家,ブログ,書庫)が全部RSSでチェックできる。
 大学の仕事をがむしゃらにしていると,そもそもの高等教育について深く考えたり知ったりする機会を逸しやすい。何しろ目の前の日常が最優先だから,どこか嘆きの大学談義。『中央公論』2006年2月号の特集「大学の失墜」のようなレベルの話から脱しきれない。ところが先日から読んでいた岡本薫『日本を滅ぼす教育論議』(講談社現代新書2006.1/720円)に感化されて,高等教育の歴史を知ることはとても大事なことだと思えてきた。いままでも職場で,そういうことの大事さを言われたりもしたが,入り口となる手がかりがいまいち見えなかった。積ん読書庫から高等教育関係を探してみるかな。

それはいつか通る道

20060126 最後の授業を終えた。もう少し題材を深めて扱いたかったものの,授業進行の狂いもあって,駆け足であっさりとこなすことになった。通年授業。お付き合い願った学生達に感謝の言葉を述べて,淡々と締めくくった。
 それで終わると思っていたが,彼女たちは前にぞろぞろやってきて「先生,一年間ありがとうございました」と声を発した。横を向けば花束。サプライズとはこのことで,私はどこへ視線を向けてよいのやら,照れて目線を落としたままだった。
 一年だけの担任となったが,この娘達は強い連帯ということが少々苦手ということもあって,こちらはハラハラすることが多かった。女の子のリレーションシップというのは,男の私には難解である。特に大人げなさの残るこの世代は,表裏の落差を抱え,実のところかなり危うい存在でもある。私にできることは,バックヤードで見守っていることを発信し続けることだけだった。
 とはいえ,彼女たちと過ごした一年は,片想いの嬉しさにも似た幸せな一年であった。それは自分自身の現在を見つめ直すものでもあったし,行く先を探ろうとし始めた記念すべき一年でもあった。
 こんなときに出てくる言葉は,あふれる想いに比して少ない。私は彼女たちにただ「ありがとう」とつぶやくように繰り返すしか言葉がなかった。

教育らくがきPodcast No.004

第4回はセンター試験2日目に収録。ニュース・ピックアップの声は誰?
 というわけで,ご無沙汰しておりますPodcast。今回からいくつかニュースをピックアップしてお送りします。機械に頼るなとは決していえない機械頼りな放送です。
・大学入試センター試験トラブル
・公立学校外部評価約8割
・幼稚園と保育所の一元化法案提出へ
krp004_20060122.mp3 (4.2MB)