いつか通る道-1

 仕事を辞める覚悟のことは,21世紀に入ろうとする2000年暮れに書いた「セミコロン」という駄文に記していた。そこから5年の時間が流れて,ようやく現実が追いついたようだ。そうした事態になればなったで,周りの様々なものの動き方が違って見える。
 「一旦辞めることを公言すれば,周囲は待ってましたとばかりに追い出しにかかるよ」と言われた。そんな陰謀めいた事態が本当に展開するのか疑わしかった。だからこの言葉の実相を,現実に退職を公言するまで理解できていなかった。しかし今となっては,本当に周りの動きがそう見えたりする。もちろん,どんな職場にしろ辞める人間を構う暇などあろうはずもなく,次年度の準備の悩みの種が増えたことに対処するのが精一杯。そういう動きが,辞める本人には被害妄想的に見えるだけなのだろう。
 世の中にごまんと溢れるビジネス・コミュニケーション読本の類は,私にはひどく退屈な内容に思えるのだけれども,実際その退屈な内容を真面目に吸収した方がよいと思われるイノセントな人が周りに大勢いる。カチンとくるような出来事があっても,自己感情をオブラートに包んでたしなめるのが大人であろうに,不快感の解消こそが目的であるがのごとく感情に従って口を開くことの浅はかさ。私はあなたの家族じゃないのだ。仕事上の問題点があると指摘したいなら,それ相応の礼儀を伴ったコミュニケーション・スキルを活かして指摘して欲しいものである。
 さてと,まだ山積みの仕事があれこれ。いくつかは〆切オーバーしているものもある。早く処理しないと。