月別アーカイブ: 2009年5月

予定調整のための道具

ご都合.com
http://www.gotsugo.com/

 グループのメンバー同士で予定の調整をするのは,あっさり決まるときもあれば,全員がその場で予定を把握できなくて調整が難しいということもあり,なかなか厄介なことです。

 組織であればグループウェアを活用して,各自のスケジュールをある程度管理しながら半自動的に予定調整することをしたりしますが,そういうシステムの無い場合はどうしましょう。

 ネットには,そんなときに気軽に使えるスケジュール調整のツールサービスがあります。各自の予定を書き込んで調整できるというやつですね。

 「ちょー助」というサービスなどありましたが,新しく「ご都合.com」というサービスも始まったみたいです。試してみるのもいいですね。

未来の教科書,教科書の未来

 日本のメーカーが長年取り組み続け幾度もの挑戦をしながらも商業的な成功に結び付けられずにいる「電子書籍」。鍵となるコンテンツを扱うノウハウが日本人には無理だったのか,米アマゾンのようなコンテンツデリバリー企業がようやく軌道に乗せつつあるというわけです。

 残念ながら日本では提供されていない「Kindle(キンドル)」と呼ばれる電子書籍ビューアが,アメリカの市場で徐々に受け入れられつつあります。そして新しいバージョン2やさらに大型スクリーンタイプの「Kindle DX (Kindle 3)」が登場し,発表会が催されたようです。

 この記事で気になるのは「新聞、雑誌、教科書を読むために特化した新しいKindle」という説明。教科書リーダーとしての活用を想定しているわけです。

 このような薄型の電子書籍ビューアが,学校で普及するかどうかは,いろいろクリアすべき条件があると思います。しかし,すでに一般読書用として社会に受け入れられつつあり,昨今のエコ配慮ビジネスとしての喧伝に乗じれば,教育現場にKindleが入り込む余地は十分ありそうです。

 ビューア機器としても薄型でなかなか魅力的なものになってますし,パソコンやiPhoneなどの携帯端末で閲覧できるソフトも用意されていますので,英語圏の書籍ビジネスにおいては,席巻するまでは行かないとしても,一定程度のシェアを確保して残っていくと思われます。

 一方,日本語圏では,パナソニック(松下)やソニーなどによるチャレンジがありながらも,ご存知の通り,この2社のコンテンツに対する商売の下手さが足を引っ張ったり,日本の書籍取り次ぎ業者である日販や東販,出版社との牽制のし合いや動きの鈍さなどもあり,幸か不幸か,電子書籍の市場は限定的なものになっています。

 教科書に限っていえば,光村図書といった先駆者達によるデジタル教科書といった取り組みが鍵を握っていますが,日本の教科書検定制度や法律などが邪魔をして,ビジネスとしてのチャレンジが進展しないという状況です。
 もちろん,こうした規制は,社会的な趨勢によって緩和されつつあり,デジタル教科書を活用する下地も,大画面デジタルテレビの導入推進とともに努力されていることは事実です。

 問題は,既得権益とは言わないまでも,従来のやり方や成功体験の範疇に留まり,新しいことに及び腰となっている日本のデジタル化スピードにあります。すでにGoogleが世界の書籍をスキャンして内容検索できるようにする試みにおいて,日本の著作権者達が知らぬうちに自分たちの著作についてもその俎上に載せられ,あとから慌てふためくという事態が起こっています。

 もし,日本の教科書がまったく異なる文脈の中でデジタル化されて公開されたとして,日本の教科書会社や日本の図書教材の諸団体は,すぐに有効なアクションを起こせる準備があるのでしょうか。

 また,そのような事態が起こってしまったとき,学校現場は,グレーな状態でデジタル公開された教科書を使うことを,どのように考えればよいのでしょうか。他者の権利が守れているのかどうかを常に不安に抱きながら教育にあたらなければならないのでしょうか。ニーズから生まれてくる誘惑に,つねに耐える苦労を強いられるのでしょうか。

 教育的利用に関する許容範囲を無限に拡大するということは,誰も望んでいないことは明らかです。そうであるならば,著作権やそれにまつわって利益を得ている人々が,利用者と向かい合って,本気で未来を描き出していく必要が,そろそろあるのではないかと思います。

 海の向こう側で起こっている電子書籍に関する動向のニュースから,こうしたことを読み取って考えていくことも,とても大事なことなのです。

『JTB時刻表』1000号

 日本交通公社(JTB)が発刊し続けてきた『時刻表』が1000号を迎えた。999号は「銀河鉄道999」のイラスト表紙だったりと,1000号よりも記念的な号だった(残念ながら入手できなかった…)。

 四,五年ぶりに『時刻表』(1000号)を購入した。旅行好きや鉄道好きの子どもだった僕たちにとって,時刻表は見知らぬ土地とそこを走り抜ける列車達と戯れるとっておきの遊び道具だった。

 ネットもケータイもない時代。

 駅名と時刻によって構成された時刻表の役割は,単に日本国内の場所と列車運行の時間を伝えるだけに留まらなかった。僕らはそこに昼夜を問わず動き続ける世界を読み取ってその風景を想像した。

 時刻表後半に掲載されている私鉄や長距離バス,フェリーの時刻表は,遠く見知らぬ土地で,本当にその通りに列車やバスやフェリーが運行しているものだろうか?と,確かめられないがゆえの不思議さを伴って存在していた。

 色紙の頁には,運賃表や計算方法,各種きっぷの種類に説明がまとめられており,それを読みふけるのが僕たちの楽しみだった。そして,各地の宿泊施設も料金とともに掲載されている。ホテルや宿泊施設の名前と料金を比べながら,どんな雰囲気なのかを想像したりもした。

 ネットやケータイが当たり前になり,最新情報が手に入る時代。

 最適路線検索やオンラインでの切符購入システムも当たり前となり,時刻表を眺めて利用することは少なくなってきた。分厚い『時刻表』の出番は,駅や旅行代理店といった特定の場所以外では極端に少なくなっているはずである。

 僕らと同じぐらいの子どもたちも,「てっちゃん」でもない限り,触れる機会はほとんど無いだろう

 昨今,学校現場では辞書ブームだと一部報道が話題にしている。自分で調べた項目に線を引いたり付箋を貼っていき,どんどん使い古していくことで勉強の進捗が目に見えて分かり,意欲向上につながるという。そして辞書引きは「調べる」活動の習慣化や習熟にも役立つと期待されている。

 かつて『時刻表』を楽しんだ僕らは,『時刻表』を眺めることで似たような効果を得ていたのかも知れない。もっとも,旅をすることばかり覚えて,どうしようもなかったのだけれど…。

 地図を広げて,時刻表を開いて,人生という世界旅行へ。
 1000号おめでとうございます。

皐月六日

 名古屋から新神戸を経由して徳島へ。さきほど無事帰宅。

 教育・人文系の蔵書からいくつか選んで段ボール6個分を送ったり,書店で新刊を眺めて手に入れたり,お仕事絡みな休日だった。まあ,実家の家族と食事が出来たから良かったとしよう。

 こういう機会には,いろんなものの有り難みを考え,それが分かってきたりする。

 自分を支えてくれていた家族や周りの人々の存在。都会暮らしをしていたときには気がつかない利便性。仕事をすることでもらえるお給料の有り難み。あっちこっち動く程度には元気な自分の健康状態。社会貢献する糸口がまだ残っている幸運。

 多くの借りがあるから,どんなに遠回りでも次代にお返ししないと…。

 そう思ったGW。

皐月四日

 GWも後半。実家に戻って蔵書の確認や大きな書店巡りをする。教育学や人文関係の蔵書の多くがこちらに残してあるので,それを徳島に連れて行かなくてはならない。

 20年前の駄文が出てきたので,思わず読みふけっていた。生意気で鼻持ちならないのは20年前から一貫している。もっとも若き日は惚れた腫れたのことばかり書いてあって笑ってしまう。とても人には見せられない,ははは。いまも変わらないか…。

 名古屋の書店事情は,不在していた3年の間に劇的に変化してしまった。

 名古屋には栄と名古屋駅前(名駅)という2つの繁華街がある。栄には一時期,丸善とマナハウスと紀伊国屋と旭屋書店という大型書店が揃い,名駅には三省堂とジュンク堂という二大書店が構えていた。

 ところが,名駅の再開発などで栄と名駅の集客バランスが変化し,出版不況といった背景も絡まって,マナハウスが閉店,旭屋書店が店舗縮小,紀伊国屋が栄から撤退し名駅へ移転してしまった。

 丸善は健在だし,新たにあおい書店が大型店舗で参入したりと,決して書店が消滅しているわけではないが,全体のパワーは衰退している感じ。特に専門書は丸善が踏ん張っているだけで,それも援護射撃がなく心細い感じになっている。

 それでもこれだけ書店が栄と名駅にあれば,書店環境としては悪いとは言えない。徳島は,紀伊国屋と宮脇書店ぐらいじゃないだろうか。ゆえに帰省中は書店をめぐって本漁りである。

 さてと,蔵書整理を頑張りますか。

皐月一日

 初めての土地にやって来て,新しい環境に自分の荷物を押し込んで,久しぶりの仕事を始めた四月が過ぎた。一ヶ月はあっという間だったが,たくさんの物事が動いた分だけ重みもあった。

 そんなスタートアップの慌ただしさの中で,GWの連休はちょっと一息つく絶妙なタイミングでやって来る。もっとも休み明けからのさらなる慌ただしさを暗示するかのように,あちらから一つ,こちらから一つ,そちらから一つと宿題やお仕事が舞い込み始める。

 とりあえず宿題とともに帰省。徳島から名古屋まで,高速バスで新神戸に向かって新幹線に乗るのが良さそうなので,そのルートで移動しようと思っている。

 今日はチューターとして担当になった学生達3人と個別に面談した。なんかものすごく年の差を感じつつ,この土地の今どきの学生たちの意識ってどんな感じなのかを探り探り会話した。

 暗い雰囲気だったらどうしようかと心配していたが,全然明るくて,やりたいことについて前向きな子たちだった。とりあえず入学したばかりの学生生活は楽しいみたいである。

 でも,3人揃ったところに加わって雑談していると,やっぱり90分の大学の授業は大変らしい。授業始まってまだ序盤だというのに「追試だよ,きっと」とか言っている。まあ,そうならないように頑張ろう。

 最後に徳島・阿波の方言をあれこれ教えてもらったが,使いこなすのはまだ修業が必要みたいだ。