本当のジェットコースター

 遊園地にはそれほど縁がなかったので,これまで絶叫乗り物にも自動的に縁がなかった。しかし,担当するクラスの日帰りレクリエーションに連れられて,ナガシマスパーランドというところに出掛けた。長らく中部に住んでいるが,初めてである。
 縁がないので,乗り物が好きなのか苦手なのかという自己判断も薄っぺらい状態。挑戦心だけは人一倍だが,今回はカメラマンの仕事を仰せつかったので,しばらくは学生達が楽しむのを眺めていた。いやはや,「ホワイトサイクロン」というジェットコースターは,見栄えもなかなかの迫力である。後で挑戦しようと思った。
 しばらくしてから,いよいよ何か乗り物に挑戦しようと思い,たまたま近くにあった「ジャイアント・フリスビー」なる乗り物に,誘われるまま喜々として乗り込んだまではよかったが,これが最悪の選択であった。


 ジャイアント・フリスビー,形は巨大な馬車の車輪に車軸がついている感じで,逆T字になって車輪部分がビュンビュン振り子運動する。人は,車輪部分にグルッと外向きに配置された座席に座ることになるので,視界はバッチリ180度楽しめるというわけだ。この車輪部分,揺れるだけでなく,回転もする。それがこの乗り物のウリでもあるが,この「揺れとひねり」のダブルパンチはきつかった。
 ノーマルなジェットコースターは,せいぜい上下運動で急降下するとか,急カーブがスリリングというわけだが,それはある程度予測可能な動きである分,楽である。実際,最後に気分が復活してからホワイトサイクロンに乗ったが,はるかに楽だった。
 ところがジャイアント・フリスビーだと,振り子状の振れに,車輪の回転が加わって,しかも視界は180度だから擬似的に360度を味わうので,もう気分はしっちゃかめっちゃかである。
 乗るまではわりと気楽だったのに‥‥,無知というのは怖いもの知らずも含まれているのだなと身体で理解した。
 朝から夕方まで,7時間も遊園地などで過ごす。学生達もさすがにバテた様子。でも,あの乗り物たちを何度も繰り返し乗って楽しむとは‥‥,単純に若さの勝ちである。
 遊園地での団体行動は,クラスのメーリングリストが役立った。連絡事項や注意報などをパーッと携帯に送れるというのは凄く便利である。学生達も「とても便利!」とメーリングリストの効果を実感していた。教室で説明するよりも,こういう機会に実用してみるのが一番理想的な授業である(と,ちょっともっともらしいお話もつけ加えて‥‥)。
 それにしてもお酒も飲んでないのに二日酔いのような頭痛が少し。おそらく最初で最後の体験だろうな。