ニュースでご承知の通り,新しいメンバーによる中央教育審議会が15日に始まった。毎日新聞がweb記事[1,2]でその辺の状況を詳しく伝えている。
以前ご紹介した2つの国際学力調査の結果を受けて,日本の教育を抜本的に見直す必要があるという構図だ。そのために「生活科」や「総合的な学習の時間」といった取り組み始めた部分に関しても例外なく議論の対象とすることも明言されている。(この辺が変に注目されてしまったので,文科省としても「新聞報道について」というコメントを出して理解を求めている。ちなみに,こんな風にマスコミ報道に対してきちんとコメントする姿勢が出てきた。大事なことだと思う。)
毎日新聞記事が審議事項についてまとめてくれているが,どうもレイアウトが間延びして見難いので,引用して整理してみよう。大きな事項は次の3つ。
●「初等中等教育改革の推進方策」
●「地方分権時代の教育委員会の在り方」
●「教員養成・免許制度の在り方」である。
このうち●「初等中等教育改革の推進方策」の中に2つの事項。
「<1>学校教育の諸制度の在り方」
「<2>教育課程と指導の充実・改善方策」
そして,「<2>教育課程と指導の充実・改善方策」がさらに細かくなっている。
「(1)「人間力」向上のための教育内容」
「(2)学習指導要領の枠組み」
「(3)学ぶ意欲を高め、理解を深める授業の実現など指導上の留意点」
「(4)地域や学校の特色を生かす教育の推進」
この審議項目の箇条書きを眺めると,大項目の後ろ2つ,「地方分権時代の教育委員会の在り方」と「教員養成・免許制度の在り方」は,<1>の諸制度の在り方と<2>の指導充実改善方策を考えるのにそれぞれ対応しているようにも見える。一筋縄ではいかないことがこういうところからも感じられる。
とはいえ,ドイツがPISA国際調査結果による「PISAショック」なるものを受けたのと同じく,日本でも教育に関する議論が盛んになること自体悪いことではない。大事なのは,冷静に議論を吟味することだ。たとえ日本の学力調査結果が如何様であったとしても,日本の教育には,あれこれ見直さなければならない事柄は多かったのである。
保育分野のテキストである加藤繁美『子どもへの責任』(ひとなる書房2004/1600円+税)などといった視点から眺めてみても,あるいは前日に起こった小学校での刺殺事件にまつわる短絡的な反応も含めて,たぶん人々が考えておきたいことはたくさんあるのだ。それは,子ども達を取り巻く環境そのものをどうするかというより,それにどう接していくかという「大人の態度とは何?」を示して欲しいという欲求なのだと思う。座席の2つや3つで「波乱のスタート」という相変わらずのことしていていいのかってことでもある。