天職の転職

 鬱積した夏の最中,転職を考えていた。学問との結婚を決意した大学時代よりも遥か前から,夢はあったのだ。それを夢のままにするのか,あるいはここで一念発起してみるかは,時の流れに身を任せという感じでもあった。そう,心は昔から浮気していたのである。
 ただ,教育世界に関わる仕事が天職だと思っている。どのような分野であれ,そこに「教育」の気配があれば,私にとってそれが活躍の場だと思っている。だから「天職の転職」もありかなと思う。
 慌ただしい秋が始まり,私はいつもの日常に身を沈めている。それ自体は(どんなに世間から滑稽に見られようとも)自分の仕事として全うするだけ。ただ,この調子だと私のプライベートは完璧に雲散霧消化する上,結婚したと思っていたはずの学問とも愛の言葉を交わす暇がなくなって,気がついた時には荷物がなくなっているに違いない(すでにもう居なかったりして)。
 一本の電話は,私をどこかへ連れて行くことになるのだろうか。