そのまた先に思いを馳せて

 今日は授業や打ち合わせなどで慌ただしい中,行政刷新委員会では事業仕分け後半2日目の文部科学省パートが行なわれていた。奨学金やら義務教育国庫負担金の話やら,気になるものも多い。前半戦の話題もあって,多くの見学人が詰めかけたというニュースも流れている。

 そして,夕方にはノーベル賞・フィールズ賞受賞者による声明発表や科学者による討論が東京大学で行なわれた。ネット時代らしく,開催の告知が駆け巡り,かなり注目を集めたようだ。私もネット中継でいくらか観ることができた。それにしても,ここのところUSTREAM等のストリーミング・サービスやTwitterは大活躍である。

 日頃から危機意識をチラつかせながら駄文を書いている当「教育らくがき」なら,この勢いに便乗して喚きそうなもの。けれども,ここまで来てしまうと私はもう次のことを考えたくなるので,基本的に静観モードで,すこし茶々入れしてみるくらいの心持ちなのである。

 皆が騒ぐべきことに気がついたならば,また違うことに視線を向けて,物事を見通そうとしなければならない。

 
 気がつかなかったが米国では23日(日本なら24日)にオバマ大統領が「Educate to Innovate」というキャンペーンを始めたというニュースを見つけた。
 別にホワイトハウスが乗り出せば上手くいくなんてちっとも思わないし,大統領が語っている物事がすべて上手くいっているとも思わないが,いかにも演出が上手いじゃないか。こういうワクワク感が日本のノーベル賞学者からもフィールズ賞学者からも出てきていないということに,ちょっとシクシク感を抱くのである。

 ま,とにかく私はいま,ローカルに軸足を置いたネットワークの可能性に興味を強くしている最中なので,あれこれ距離感を測ることで時間が過ぎている。私は基本的にタネはたくさん持っているけれど,蒔いて育てることには弱いので,少なくとも苗まで育てて,一緒に育ててくれる誰かに会いにいく準備をするのが目下の課題である。

 
 というわけで,科学・技術も人文・社会科学も,ますます世間とのコミュニケーションを強めることで,進歩していくことを願うのみである。私は地道に仕込み作業継続…。あ〜,でも毎日の授業は,毎日原稿締切りがあるみたいで大変である。