チルドレンズ・ディスカバリー・ミュージアム ((米国滞在記04))

20061012_cdm 甥っ子の誕生日祝いも兼ねて,サンノゼにあるチルドレンズ・ディスカバリー・ミュージアム(CDM)に出かけた。子ども向けの体験学習施設である。
 シリコンバレーにあるとはいえ,ここのCDMの内容はごく一般的なもので,テクノロジー系の展示が特段多いわけではない。テクノロジー系がご所望であれば,別に施設がある。それにかなり年季の入った施設で,わりと雰囲気もアットホームである。ウィークデー(平日)ということもあって,家族連れよりも,子どもを連れた奥さまたちが集まってくる場所といった雰囲気である。
20061012_wtr 子どもたちに人気があったのは,「Water Ways」という水とボールで戯れるコーナー。写真はちょうど人気がなくなった場面だが,ここにたくさんの子どもたちが集まる。水流を使ってボールを集めたり,跳ばしたり,水しぶきを浴びたりと,子どもたちが喜ぶ仕掛けがいっぱいである。
 一応,簡単な防水エプロンみたいなものが用意されているので,それを着用して楽しむのだが,子どもたちは無茶苦茶するので,あっという間にずぶ濡れになる。それでもカリフォルニアっ子たちは気にしないのだ。
20061012_u4 さすが子ども向けと銘打っているだけあり,4歳児以下の子どものこともちゃんと考えて,その子達が楽しむ領域も用意している。動機はどうあれ,この乳幼児や低年齢児への心配りというか,手厚さというところが,欧米諸国の教育施設づくりの根底にあって,いつも感心する。2階には低年齢児のための専用活動スペースが用意されていて,母子のたまり場になっているようだ。
 (余談だが,ここに集まってくる母子の様子から,幼児を育てるお母さんたちの苦労や孤独といった問題は,日本だけのものではないことが垣間見える。特にアジア系のお母さんたちが座って子どもを眺めている様子を見ると,どこか子どもの面倒を見る日々に疲れているような面持ちがある。チルドレンズ・ディスカバリー・ミュージアムのような施設には,教育施設としての高尚な目的以外にも,お母さんたちが子どもを遊ばせる行き場や居場所としての側面もあるのだろう。)
20061012_boy 2歳になった甥っ子もその恩恵を受けて,場内をあちこち動き回る。叔父ちゃん(私)の手を引っ張って「come on!」と誘ってくれるのは嬉しいのだけれど,「あっち」「こっち」と好奇心旺盛で,そろそろ戻ろうと促しても「no!」って言って,なかなかみんなのもとへ帰ろうとしない。君には負けたよ。
 実は,ちょうど私が渡米する日。東大BEATセミナーが開催されて,そのテーマが「イマドキ・キッズの遊び場、学び場/どのようなチルドレンズミュージアムを創るか?」というものだった。それに参加してから,こういう場所に訪れたら,もう少し違う角度から見られたかも知れない。(そういう意味では来月のセミナーといい,なんでこうもチャンスが前後してしまうのか…悔しい)
 それでも様々なアイデアを駆使して子どもたちに働きかけようとしたり,あるいは純粋に興味を持ってもらおうとする努力は,随所から感じ取れる。それは具現化されているのを見れば「なるほど」というものばかりだが,ゼロから発想して作るとなると,そう簡単ではないなと思う。
 けれども,こうしたノウハウやセンスは,子どもたちに長時間接する教師にこそ共有して欲しいし,そうした活動に積極的に関わるような教師自身のライフスタイルというものを現実のものとすることが,日本に必要なのだと思う。美しいばっかりに見とれてないで,創造する喜びが得られる条件整備を期待したい。
 さてと,ぼちぼちハワイへ移動する準備。いくつかの宿題も止まったままだから進めないと…。