MacOS X10.5の教育利用で嬉しいポイント

 新しいMacOS X10.5英語)は来春発売予定。今回公開された機能の中で注目すべきはネットワーク対応のSpotlight検索とTime Machineという名のファイル復元(自動バックアップ)のようだ。付属アプリケーションの進化としては,MailにおけるHTMLメール作成機能の充実とiChatのコラボレーション機能の追加が挙げられる。
1) Spotlight検索のネットワーク対応
 学校や職場の共有ファイルサーバーには,たくさんの書類ファイルやデータが保存されているものである。従来まで,こうした共有ファイルサーバーに保存されていたファイルを検索するのは困難だった。
 できて「ファイル名」や「ファイルの種類」を検索できる程度。しかもネットワーク経由でマウントしたディスクを検索するため,極端に時間がかかって使い物にならなかった。
 Spotlight検索は,MacOS Xにおけるシステムレベルの検索機能として,ローカルディスク内のファイルやデータを名前から内容までを対象として高速検索する機能。これがネットワーク対応になった。
 つまり,共有ファイルサーバ上のファイルやデータも,名前だけでなく内容も含めて高速検索できるようになったのである。これで,どれだけ前に作った文書でも,探したいキーワードが中身で使われているファイルを探し出すことができる。
 教育工学系で,ブログとかWikiを使って指導案や校務文書を登録して整理するという取り組みがあるが,これでそういう回りくどい努力が吹っ飛んでしまう。サーバー上の指導案等を検索したいなら,MacOS Xでファイルサーバー立てて,MacOS XでSpotlight検索すれば,実務上はあっという間にアクセスできるのである。ああ,こりゃ一大事だ。
2) Time Machine(タイムマシン)
 これは自動バックアップ機能と復元機能である。ファイルやデータのバックアップは重要であるとは啓蒙されても,実際にバックアップ作業をしている人たちは少ない。いろいろ仕事も忙しいからだ。
 そんなわけで,システムが自動的にバックアップする機能を付けるというのは,自然な発想だ。特に目新しい機能ではない。タイムマシンという機能は,ファイルが作成されたり,変更されるたびに,その変更部分(差分)を記録していく。そして必要なときにタイムホールを呼び出して,過去にさかのぼることができ,復元が可能というもの。
 要するに消去しても完全に消しているわけではないし,逆に言えば,ハードディスクを消費する機能とも言える。おそらく使用するかしないかスイッチを入切できると思うが,ハードディスクの容量さえたっぷりあれば,アップルらしいユーモアのあるインターフェイスを使ってファイルやデータの復元ができるというわけである。
 まあ,子どもたちがいろいろ削除したり変更してしまうファイルやデータを復元できたり,過去にさかのぼって古いバージョンと比較できたりするのは,なかなか便利かも知れない。
3) MailのHTMLメール作成機能
 この頃は,HTMLメールによって奇麗にレイアウトされた業者からのダイレクトメールも多くなった。そうした自由なレイアウトの奇麗なメールを個人が作成して送信するツールはなかなかなかった。
 Webサイト作成ソフトiWebの成果を活かして,それを組み込んだのが新しい版のメールソフトMailである。HTMLメールの送信や受信には,まだ抵抗を感じる人々も多いが,そろそろ高度なレイアウトのメールを可能にする環境は整ってもいいかも知れない。
 子どもたちが自由気ままにレイアウトしたメールを送信する場合,最初から文面全体をグラフィックソフトで画像を作成して,それを貼り付けるか,簡易HTMLエディタである程度自由度が犠牲になった文面で我慢するしかなかった。
 システム標準のメールソフトで,ここまで簡単に自由度の高いレイアウトメールを作成できるというのは,表現力を重視する学校現場にとって,かなり魅力的である。
4) iChatのコラボレーション機能追加
 ビデオチャットソフトとしては独自路線を行くiChatは,他のソフトとの互換性という面では劣勢。しかし,MacOS標準のビデオチャットソフトとして,今度の版では,コラボレーション機能が追加されている。
 通信相手のコンピュータ画面を共有し,会話をしながら同じ画面を操作できるというコラボレーション機能は,コンピュータのサポートや共同でのファイル作成に役立ちそうだ。また,これまで対話型のチャットが前提だったが,プレゼンテーション型のチャットもできるようになり,写真アルバムのスライドショーを大きく見せながら子画面でビデオチャットすることもできるようだ。
 こうした機能によって,学校間交流の際の活用がより便利になった。他のビデオチャットソフトと比べても,iChatのビデオ画面はクオリティが高く,従来から学校間交流などで大きく映し出したい用途に向いていた。そのうえに,相手に見せたい写真スライドを見せながら会話ができるという機能は,有り難いはずである。
 その他にも,来春発売予定のMacOS Xには新機能がいっぱい有るようだが,その全貌が完全に明らかになるのは,来年正月のApple Expoまでお預けのようだ。