いしかわ子ども総合条例改正

小中生に持たせない 県議会委、条例改正案を可決(毎日.jp)
http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20090626ddlk17010628000c.html

小中学生のケータイ所持禁止 石川県条例案に異論(J-CAST)
http://www.j-cast.com/2009/06/26043914.html

小中学生の携帯電話を一律規制–石川県の条例案に陳情書(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/cnet/20090624-OYT8T00767.htm

石川県議会最新情報
http://www.pref.ishikawa.jp/gikai/index22.html

議会議案第1号「いしかわ子ども総合条例の一部を改正する条例(案)」(PDF)
http://www.pref.ishikawa.jp/gikai/gif/kodomojorei.pdf

いしかわ子ども総合条例(現行)
http://www.pref.ishikawa.jp/reiki/reiki_honbun/i1011162001.html

 このニュースで伝えられている事柄について,どのように理解すべきなのかは,まだ慎重を期さなければならない。石川県議会は最新の議事録をまだ公開していないし,ネット安全モラル学会も立ち上がったばかりの学会で陳情内容について自身のサイトで公式情報を公開できていないので(6/27現在),それぞれが何を狙ったものであるのかがわからない。

 石川県議会が公開している「改正案」を読むと,なるほど確かに「携帯電話端末等を持たせないよう努めるものとする」という文言が記載されている。

 ただし,これがマスコミ報道による「一律規制」というニュアンスと同等なのかは,議会の見解がわからない以上,単純な批判をすることができない。

 一方,ネット安全モラル学会の陳情内容が,条例改正案に対して,真っ向否定しているのか,あるいは教育施策とのセットで決議しなければならないことを提言しているのかもわからない。あるいは,マスコミ報道の影響による「一律規制」という流れ発生に抗すべく,パフォーマンスとして「異議あり」とのろしを上げたのかもしれない(それ自体は悪いことではない)。

 判断材料不足の中で推測によって物事を言うとすれば,現状の教育条件整備水準に照らして,このような時間稼ぎともいえる条例を選択せざるを得ないことも理解できる。

 問題は条例にも記されているように「保護者,地域団体,学校関係者その他の青少年の健全育成に携わる者は,相互に連携して,携帯電話端末等の適切な利用に関する取組の促進に努めるものとする」ことができるかどうかである。

 そうであれば,(売り出し中の)ネット安全モラル学会のアプローチは,陳情というよりも最新のネット安全モラル教育プログラムの優先的提供によって石川県とタッグを組む方が良かったのではないかと思うし,そういう戦略的な働きかけを他の諸学会やプロジェクトも打ち出していくことがこれから大事なのかもしれない。

 地方自治における「首長」「議会」「教育委員会」という三すくみ構成を打破していくために,「学術研究」がどのように関わっていくべきか,どう関わることで持続的な関係を築くことができるのか。この夏秋に聞こえてくる様々な議論の行方が楽しみである。