仕事場からの宿題は,高校生向けのオープンキャンパスなどの申込み受付をWebや携帯電話から出来るようにする受付システムの開発である。私が長をつとめる情報メディアセンターは,そんな要求がポンと投げ込まれてくる。
昨年まで自分も入試募集委員をしていたので,そういうシステムがあれば少しでも効率化できるのにと思っていた。皆さんもご存知のように,携帯電話から指定のアドレスに,中身空っぽの「空メール」を送信するだけで自動返信メールがやってくるという仕組みがある。
この仕組みをクーポン券発行に利用して携帯電話をクーポン券代わりにできるとか,別の画面へ誘導して景品付きアンケート調査に活用するところもある。それをオープンキャンパスの申込み受付のシステムとして利用する事も出来るのである。
そうすれば,1)受付の手間を軽減できる,2)本人承諾の上で連絡先情報などを確保できる,3)今後の情報提供につなげられる,といったメリットがもたらされるのである。要するに大学の諸活動においてもCRMが当然というわけである。
そもそも,こういうシステムを始めとしてWeb関係の事柄は外注するのが一般的になりつつある。しかし,下手に技術をかじった経験があるだけに,外注する回りくどさを飛び越して,とりあえず自分で作ってみようとする悪い癖が顔を出す。つまり過去に技術を勉強するため自己投資した分をここで活かしたいというわけなのだ。それが達成できたら,いくらでも外注してクオリティの高いものを手に入れればいい。
というわけで,PHP言語というものを用いて「オープンキャンパス受付システム」を試作してみた。こういうのは,たくさん買った参考図書から例題を引っ張ってきて組み合わせ,自分なりにアレンジを加えていく事でオリジナルのシステムを作ればいいのである。
まず,空メールに自動応答する仕組みを作ってみる。例題を参考にすれば簡単だ。そして別個に,Web画面上に申込みフォームを作り上げる。この辺はホームページ制作とPHP言語の組み合わせ。申込みフォームの内容をメールで指定したアドレスに送る仕組みも付け加える。これも参考書にいろんな例題があるので真似てみる。
しかし,文字コードの変換とか,携帯電話でも見られるように配慮するとか,それぞれ細かい工夫も必要。その辺がまとまっている書籍は少ないから,本当に勉強成果を組み合わせないといけない。
部分部分を一つのシステムにまとめるためには,つなぎ目の部分を創作しなくてはいけない。そのうえ,利用者は期待した通りに入力するとは限らないので,未入力がないかどうかのチェックや入力情報を確認する画面を作らないといけない。
そうやって丸一日かけて,なんとか動くところまでは完成した。デザインやセキュリティのための細かい配慮を考えるとなると,まだ作業は残っているが,実利用するには問題ないレベル。実際に携帯電話からの実験もしてみたので,あとは報告してGOサインをもらえば一般公開できる。
今回,データベース機能は使っていないが,今後,顧客管理のために利用してみたいし,オープンキャンパスの体験講座の予約管理などをデータベースと組み合わせて実現すれば,より申込み受付の効率も上がると思う。
それで,さっそく職場の依頼主に成果を報告した。実験してもらって,メールや画面内の文面とか,デザインとか,使い勝手を見てもらい,問題なければGOサインをもらいたいと思ったのだ。
その晩のうちにお礼のメールは返ってきたのだが,その後,試した感想や公開に関する返事がちっとも返って来ない。お盆休みだし,相手が忙しいのはわかるものの,依頼を受けて頑張って作ったのだし,お盆休みだからこそすぐにだって使えば効果は出ると思うのに‥‥。
なんか,こういう努力は報われない。少しでも職場の前進につながればと思って頑張っても,この有様では‥‥。要するに「給料以上の事をしなくてもいいです」という事なのかもしれない。
いいよ,この経験は必ず自分自身でもととってやるから。exCampusを正式に引き取って,改良版を作ってみようかな,って,私にそんな力も時間もないでしょうが‥‥。そうか,こういう事で研究補助金をどこからか引っ張ってきて外注すればいいんだ。世の中,そういう仕組みなのね。世間知らずも困っちゃうなぁ‥‥>自分。