未来のためのQ&A
http://www.google.co.jp/mirai2009
米国大統領選挙中やオバマ大統領就任後に市民から意見を集めるため使用した「Open for Questions」というサイトで使用したのがGoogle Moderatorというシステムであったが,これを日本の選挙や政治にも活用しようとオープンしたのが「未来を選ぼう2009」というサイトである。その中のメインの試みが「未来のためのQ&A」で,これらはGoogleがやっている。
考えてみれば,日本での世論から政治家へ向けた「多対一コミュニケーション」は,これまでマスコミを代理人として機能していたように装ってきた(あとは直接に選挙ぐらいしか手段がない)。とりあえず新聞・テレビの大マスコミが,疑問を投げ掛けそれに政治家が応えることで,市民世論の代表たるマスコミと,市民権力の代表たる政治家が対峙し,チェック機能が働くという前提にあった。
ところが,もはやそのどちらにも「代表たる」資格や資質が失われつつあり,最悪,お互いが予定調和の中であぐらをかいてしまった。
そうなってみて,ふと思い返せば,そもそもの主権者たる市民の側は,本当のところどういう考えを持っているのかを,私たちお互い何も知りえていなかったりする。
少し無謀かも知れないが,直接市民の声を拾い出すシステムを動かしてみるのも,こういう時にはいい試みかも知れない。もちろん意見を述べあうことも大事だが,むしろ「鋭い質問」を出し合うことにこそ,私たちの意見や考えが集約されてくるのではないか。そういう場として「Google Moderator」が提供する「未来のためのQ&A」を考えることが出来る。
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「未来のためのQ&A」の中にある「子育て,教育」の項目には,現時点で270程度の質問が書き込まれ,投票に基づいて順番付けされている。
大ざっぱだが短く率直な質問あり,詳しく前提を書いて焦点を絞った質問あり,このときとばかりタブーを聞く質問あり,様々な立場から書かれたものが並んでいる。それだけこの分野で問題を放置したのだし,すべての質問がそれなりに大事なのは,おそらく異論はない。問題は,どこから先に取り掛かるかの優先順位である。
そもそもの日本の国の形のビジョンが必要になる。地方分権に基づいた合衆国的な在り方なのか,もっと国による再配分機能を強化した福祉国家的な在り方なのか。あるいはそれ以外の何かなのか。そこから筋を導かないと,教育だけを無制限に優先することが出来ない以上,何を守って,何は諦めるべきかもハッキリしない。
とりあえず,こうしたサイトを通して,どんな質問や考えがあるのかを共有するのはよいことだ。