気になる記事

 とうに学校界は「夏休み」という名の期間に入っているというのに,そこを職場にする私たち関係者は最も慌ただしい時間が始まったわけで,このブログもなかなか更新できずにいる。
 そんななかで気になったWeb記事があったので記録しておこう。一つはnikkeibp.jpの『数字・うら読みななめ読み 第17回〜間取り論争その1 「子ども部屋は自分でコントロールできる空間を与えるためにある」』というインタビュー記事だ。
 世界の子ども部屋研究をしている北浦かほる教授が指摘するのは,洋風化した空間と旧態依然の日本的行為との不整合が現代日本の親子関係を難しくしているのではないかということだ。インタビューはそれをとらえて「場の共有ではなく,行為の共有が大切なんですね」とうまいこと表現している。
 子ども部屋から見通した議論としては興味深い展開のインタビューだが,場の共有ではなく行為の共有という部分だけを取り出した構図理解には注意を要するだろう。記事中の『消極的な「旧日本型」コミュニケーションでなく,積極的な「ベルギー型」がこれからの日本の家族をつなぐのでしょうか?』という問いかけは,その構図を言い換えたものだが,果たして「旧日本型」コミュニケーションが通用しなくなったからといってそれを退けることには,もう少し議論が必要だと思うのだ。
 もう一つはasahi.comの「ユーザー置き去りの著作権攻防戦」という記事。私たちが知らない或いは黙っている間に,私たちを取り巻く世界は窮屈になりつつあることが記事から伺われる。この領域について教育世界はあまりにのんきなのかも知れない。
 「教育らくがき」でも取り上げた岡本薫『著作権の考え方』(岩波新書)は,どれほどの人々に読まれたのだろうか。もっと読まれなければならないし,それを読んだ後にこの記事を目にすると,自ら進んで住みにくい国になろうとしているようにも思えてくる。それもこれも一般人と称する私たちが手をこまねいて何もしていないからなのかも知れない。
 ビデオニュース社のサイトに,立花隆氏の講演ビデオが公開されている。立花氏の評価はいろいろと議論が巻き起こったこともあるので,話の内容はそれなりに割り引くとして,この講演後の質疑応答部分でベビーブーマー(団塊)世代の特徴について述べている件がある。それから立花氏自身の世代について言及している部分もある。それを聞いていると,日本という国の行き先について,ますます不安になってしまうのは私の悪い癖なのかな。