気まぐれ風まかせ

 先日、とある役職仕事を引き受けるために返信を出した。躊躇いがなかったわけではないけれど、不思議な巡り合わせに身を任せることにした。

 もしごく普通に書面で依頼されていたら、おそらく辞退することを考えたと思う。

 この界隈随一の迷い子な私。たまにメインストリームと交差したかと思えば、ブワァ〜と横風に煽られてすぐさま道を外れる愚か者である。若いときに刷り込まれたのが孤独な研究者像なので、周りと距離を置くような立ち位置しか思いつかないのである。

 役職仕事が得意な性分とは言えない。正確に言えば、責任を持つ用意がないのだから、肩書きの持ちようがない、と自己認識している。

 その依頼は、相手と話していたときに切り出された。

 やはり直接に手伝って欲しいと言われると「手伝わない」とは言えないもので、自分がふさわしいかわからないけれども…と注釈は入れながらも、それでもよければ出来る範囲で手伝う旨をお返事する形になった。

 ダメなら誰かが指摘するに違いないのだから、その辺は流れに身を任せることにした。

 これも先日、同じ職場で隣りの研究室の先生が声をかけに来てくれた。

 徳島県庁の人が大学に来ていて、新しく始める取組みに私も関われるのではないかということで、ご挨拶をしたいとのことだった。

 直接お話を聞くと、とある学校でのICT活用について積極的に取り組んでいこうとされているのが伝わってきた。

 徳島県に引っ越して4年目を迎えるが、なかなか地域に貢献することが出来ないまま来ていたので、お声掛けはとても嬉しかった。

 地域の教育は地域で創造しなければならないということを強く感じていたから、こうしたお声掛けを大切にして、それをゆくゆくは全国発信できればいいなと思う。

 場合によってはフャーチャースクールの取組みとコラボレーションさせたり、フューチャースクール後の流れを徳島県に引き継いでもらえたら…とも妄想してしまう。

 たぶん、なんかもっと背負ったり、もっと人に会ってコミットしたりすることも出来るとは思う。網羅的にやろうとすればそうすべきこともある。

 でも、思うに私自身の場合、必要な事柄は自然と直接対峙する機会が訪れる。当たり前といえば当たり前だけど、逆を言えば、直接対峙するまでは慌てて会ったり関係をつくろうとするのは、あまり上手くいかないとうことでもある。

 しかるべき時にしかるべき人と会ってしかるべき仕事をする。

 その基準が気まぐれ風まかせだってことが私の特徴であり欠点でもある。