今年,ETV(NHK教育テレビ)が50周年を迎えた。私たちにとっては,学校放送と語学番組で大変なじみの深いテレビチャネルということで,まずは素直にお祝いをしたい。
すでにリクエスト自体は終了してしまったが,記念サイトには「もう一度見たい教育テレビ」と題して過去の放送番組が紹介されている。「自分の年齢から探す」のページを使えば,自分が幼い頃に放送されていた番組を時間をさかのぼって知ることも出来る。
私が教育テレビと聞いて思い浮かべるのは,「なんなんなあに」のテーマソングと「できるかな」のゴンタくんとノッポさんである。あとは「セサミストリート」というイメージ。
セサミストリートは,途中からNHKの手を離れてしまったのだけれども,僕はNHK版のイメージが強いので,民放版で変わってしまった部分はあんまり好きになれなかったりする。そういう意味では「教育テレビ」がいつしか「ETV」になっちゃったのも,正直言うとまだ素直に受け入れてなかったりして,まあ,世代に縛られるということから逃れられないみたいだ。
だから,「天才てれびくん」のノリも,「ウゴウゴ・ルーガ」が好きだった僕らにとって,確かに最初は期待を抱かせたのだけれども,どこか芸達者な子どもたちに楽屋オチ的な笑いを演じさせ始めたところから好きになれなくなってしまった。いろいろ試行錯誤しているようだから,もうちょっと真面目に見れば好きになれるのかも知れないが,なかなか余裕はない。
ETVが扱った番組ではないけれども,セサミストリートつながりで,私が一番好きな番組なのが「The Muppet Show(マペットショー)」である。セサミストリートでもおなじみの人形(マペット)たちがホストになって,実際の俳優や歌手のスターたちと架空の劇場でバラエティを演じるというコメディ番組である。日本の番組で一番近い雰囲気なのは「ハッチポッチステーション」だと思う。見たことはないが「どれみふぁワンダーランド」というBS2の番組には,似たような雰囲気を感じる。
要するに,コントや寸劇部分でコメディを展開しつつも,演技や歌などに妥協しないという姿勢のメリハリ感がよいと思うのである。「マペットショー」は,子どもたちにお馴染のマペット達が一流スターを相手に共演してしまうという敷居の低さ,しかしスターが演技したり唄い始めると一流のエンターテイメントを味わえるという本格的なつくりが,わくわくさせる。
たぶん「ハッチポッチステーション」や「どれみふぁワンダーランド」なんかが歌に関しては一流(あるいはプロとしての品質)を維持していることと通じているように思う。
相変わらず映像の権利問題に関しては懸念が残るものの,YouTubeのおかげで「マペットショー」の一部分を見ることが可能である。
たとえばダイアナ・ロスが共演した動画を見ると,マペットとの会話から歌へとつながる部分のなめらかさや優雅さみたいなものを感じることが出来るし,一緒に合唱する部分の盛り上がりや一体感なんかは,上質なエンターテイメントである。
いま,こういう番組作りをしようとすると,たぶん製作者側にもそれだけのテンションを維持する力がないかも知れないし,まずもって視聴者が受け付けなくなっているように思う。要するにつくっても数字はとれないからBS行きなのだ。これは海外でも事情は同じかも知れない。実際,マペットショーに追いつこうとした番組はあるが長続きはしていない。
「教育テレビ」を系譜とする「ETV」には,今後もぜひ上質な番組作りを目指して欲しいと思う。
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追記:いやはや,カイリー・ミノーグとカエルのカーミットとのデュエットのビデオも素晴らしいね。やはり,マペット・キャラクターの魅力が強いんだろうな。