タイムスクープハンター

 火曜日の夜,0時越えしたNHK総合チャネルで『タイムスクープハンター』というドラマが放送されており,今度の19日に最終回を迎える。日本の過去へとタイムトラベルしたジャーナリストが歴史事象をリポートするという空想歴史ドラマだ。

 要潤さんがタイムトラベルするジャーナリストを演じ,高度な交渉術とやらを使って当時の人と接触し,密着取材を行なうという設定である。主観撮影法(P.O.V.方式 = Point Of View)という撮影方法を使って,あたかも当時の様子をタイムトラベルしてきたジャーナリストのカメラで撮影しているという雰囲気を出し,リアリティを生み出している。

 昨年,開発番組(実験番組)として放送されて好評を博し,レギュラー番組化されただけあり,面白い。史実を下敷きにした作り話であるから,歴史番組というよりは空想歴史ドラマと表現した方がよいと思うのだが,とりあえずNHK的には「ドキュメンタリー/教養」のジャンルだと認識しているらしい(ちなみに,かわいそうに単独のホームページを用意してもらえずブログを間借りさせてもらっているようだ)。

 人それぞれ好みがあるから,こうした番組を受け入れない人も居るかも知れないが,私はこの番組自体はもちろん,番組に通底する「作り手の姿勢」の良さを高く評価したいと思う。

 あらかじめ世界観や枠組みを自分たちで作り込んで,そのセオリーを守ることを通して楽しみながら番組をつくっていることが伝わってくる。世界観や枠組みの作り込み具合によって番組のグレードが決まり,セオリーを守りつつどれだけ楽しんだり楽しませたり出来るかで人気が決まる。

 「タイムスクープハンター」は,史実を下敷きに空想世界を作り込み,製作者も演者もその世界観やセオリーの中で良い仕事をしている。(未来からの取材という部分で)史実をパロディしているようでいて,当時の人々を演じる部分については(あたかも本物ですといわんばかりに)真剣そのもの。この辺の案配がいい。

 見たことない方は最終回をお見逃しなく。たぶん新シリーズへと続くんじゃないかな。

 変に教育に繋げて考えない方がこういう番組にとってはよいと思うのだが,歴史への関心を喚起するという点においては,こういうドラマの方が学校放送番組よりも効果的なのかも知れない。

 あるいは「クイズ面白ゼミナール」の歴史クイズの寸劇くらいコミカルにするかどっちかだな。