They are watching us.

 今日はNEW EDUCATION EXPO2007に出席した。教育をテーマとした展示・セミナーの催事としては国内最大規模のものだと思う。今年は東京会場と大阪会場が予定され,東京会場が無事お開きとなった。
 様々な企業の製品展示となると,どうしても学校管理者や教育委員会関係者といった層へのアピールが強くなりがちだ。しかし,その展示にしても,またセミナー類等は,是非とも現場でふつ〜に働く教師の皆さんに触れて見て欲しいものばかりだ。本来ならば,こうしたEXPOの場にやって来て,教育機器の最新動向を知ることも自己研修の1つとして正当に評価されるべきである。

 今年はご縁を頂いて,最終日最終時間帯のセッションの1つに登壇させていただくことになった。頼まれると「NO」とは言えないことを見透かされて,役者の一人として「バトルセッション・これならできる!普段着のICT活用」というテーマの一部分を語ることになったのである。
 本来であれば,ICT活用は整備されたICT環境のもとで,校内研修や勉強会を開き,活用ノウハウを共有しなければならないということをシンプルに語るだけでよかった。
 ところが語っているうちに火が付いて,「この国の教員をバックアップするしくみはあまりに乏しい」と話を膨らませちゃったから,さあ大変。どうも熱く語っているうちに「New Education Expoに来ているのは毎回一部の人達。来てない人達にこそ届くべきだ」とかなんとか,主催者を苦笑いさせてたらしい。
 ああ,やらかしてしまいました。

 そんなことがあると「人の心を扇動(アジテイション)することを安易に行なってはならない」と少し自己反省。周りをその気にさせることは悪ではない。とはいえ,研究者という立場を取るのであれば,それは研究成果をもって代えなければならないと肝に銘じるのも倫理の1つ。
 今回はバトルセッションの登壇であるから,登壇者としてのパフォーマンスだと,聴衆に割り切ってもらうしかない。
 セッションが終わり,幾人かの方々からご挨拶を頂いた。意外と好意を持って受け止められたみたいだった。皆様に感謝しつつ,またここから自分なりの模索を始めるしかない。

 今後,地方主体の時代が本格化する中で,全国の教師をバックアップするしくみはどう保証されるのか,まるっきり展望は示されていない。もちろんすでに国立教育政策研究所が中心となって提供しているものがあるにはある。けれども,ご覧頂ければ分かるが,魂込めて生きた情報提供活動を維持しているとはいえない。先輩諸氏には悪いが,カリキュラムというものを単純なデータベースのみでしか捉えられていない,本質理解への努力を欠いた造形物に終わっていると思う。終わっていないというなら,動き続けて欲しいものだ。
 私たち大人は,若い世代や子ども達から常にその言動を見られているのだと,意識しなければならないと思う。最近は,どこぞの会議の人間も似たような言葉を語っているが,そう言う自分たちの言動の矛盾や不整合こそ批判の対象として見られていることに,もっと自覚的になっていただきたいものだ。そうやって私たちは信任を得られなくなってきているのだから。
 彼ら(子ども達)は私たちのことを見ている。ほとんどが大人ばかりのEXPOの場で,そのことを考えることは,案外大事なことではないのかと思った。