学会スライドはオンラインでどう?

 Web2.0のセミナーに参加したもんだから,ちょっとWeb2.0サービス馬鹿になってみている。いろんなサービスがある中で,今回紹介したいと思ったのは,Webベースのオフィススイート「Zoho」。それもこのたびプレゼンテーションのサービスがリリースされたというのでさわってみた。
 初めての皆さんに「Webベースのオフィススイート」というのが何かを説明しておこう。パソコンを使って何か仕事をするという場合,パソコンにワープロソフトや表計算ソフトというものを購入して(もしくは最初から用意されていて),このソフトを使いこなすことが必要だった。その事務用ソフトで一番有名なのが「マイクロソフトオフィス」というセットで,ワープロと表計算とスライドまたデータベースなどに使うソフトがまとめられている。このような事務用ソフトのセットを「オフィススイート」と呼んでいる。
 それで,今まではCDやDVDの形で販売されていたソフトを導入して使用するというスタイルが一般的だったのだが,インターネットが普及するとネットでソフトを提供しようという事になってきた。「オンラインソフト」とか「フリーソフト」とか呼ばれるものがそれで,無料で使える場合が多いので導入事例も増えてきた。この場合のオフィススイートで有名なのが「オープン・オフィス.org」というセットである。マイクロソフトオフィスと同程度のものが無料で手にはいるのだ。
 しかし,これは単に配付手段がCDやDVDからインターネットに変わっただけ。Web2.0の世界は,インターネットというネットワークの特性をソフトそのものに活かそうとする試みをする。
 それはソフトを入手して導入するという手間を省き,すべてをWebブラウザー(閲覧ソフト)の画面の中で済ませてしまおうという試みなのである。ソフトそのものはインターネット上に存在し,作成したファイルを保存する場所もインターネット上。こうすることで,Webブラウザの動くパソコンならどのパソコンでも,登録した会員IDとパスワードを入力することで,いつものソフトとファイルを編集することができるのである。
 少しイメージしにくいかも知れないが,こんな風にインターネットに接続されている状態で使用するソフトのことを「webアプリケーション(またはwebサービス)」などと呼び,webアプリケーションで提供されているオフィススイートの一つが「Zoho」というソフトなのである。もちろんこれ以外にもgoogleなどが同じようなwebアプリケーションを提供している(WritelyとかGoogle Spreadsheetとか)。
 さて,ソフトやファイルがインターネット上にあるって,一体どんなメリットがあるんだろうか。それにそういうwebアプリケーションって,いままでのソフトと同じように使えるのだろうか。
 実のところ,ワープロとか表計算とかではそれほどメリットを享受するとも思えない。私たちの職場環境は,ローカルネットワークが用意されているだろうし,ワープロ文書も表ファイルもファイルサーバ経由で共有すれば済むことである。わざわざwebアプリケーションに切り替えて使う必然性が薄い。
 ところが,インターネット上にファイルを保存し,誰か不特定多数と共有することがとても必要になるソフトがある。それはプレゼンテーションソフトだ。発表スライドを不特定の聴衆に配付したり閲覧してもらう場合には,インターネット上に保存して公開できれば都合がいい。とはいえ,これまでだと,発表用のスライドファイルをどこかのサーバーにアップして,そのURLを知らせて…なんていう手間が厄介だった。スライドに修正が入った場合には厄介を繰り返すことになる。
 しかしプレゼンテーションソフトがwebアプリケーションとしてインターネット上で使え,それをファイル保存したら公開されるようにすれば,スライド内容を簡単に共有できるようになる。これは嬉しいかも知れない。
 学会発表の会場がインターネット接続を確保するか,自分でPHS使って接続確保すれば,発表に使用できるし,まして聴衆側も同じスライドをその場で共有できる(パソコン持ってりゃの話だけど)。これがうまくいけば,当日スライドを紙に印刷する量も減らせるだろうし,スクリーンをデジタルカメラで撮影する滑稽な自分ともお別れできるじゃないか。
 というわけで,「Zoho Show」という新しいプレゼンテーションwebアプリケーションが登場したようなので,試してみてもいいかも。幸い,ちゃんと日本語表示できるようだし。派手なアニメーションはないとしても本来プレゼンはパラパラアニメなのだ。枚数で頑張ろう。あとは中身だな,うん。