出戻り

 東京から名古屋に戻ってきてしまった。部屋探しの結果,とてもいい物件にたどり着いたものの,手続きのためには名古屋に戻って処理した方がよさそうだという判断になったわけだ。
 部屋を借りる申し込みをして,入居資格の審査のようなものを受ける。勤務先はどこか,年収はいくらか,あなたは日本人なのか,ということを聞かれる。ああそうか。私の名前,読み方が珍しいことをすっかり忘れていた。オーナー側にしてみれば,中国人じゃないのかとか,家賃は支払えるのかとか,他の入居者と釣り合いがとれるのかとか,いろいろ心配事があるのだろう。
 名古屋の職を離れて,東京で勉学・研究することを理解しもらえれば,問題ないとは思う。けれども,やはり世間の目は厳しいものなのだということをあらためて覚悟しなければならない。
 これからしばらくは蔵書と格闘である。引っ越し先に送るものと残していくもの,場合によっては捨てるものを選別しなくてはならない。どこでもドアが欲しくなる場面だ。全てを移動するとなると大変な輸送代がかかりそうなので,必要最低限のものをチョイスしなければならない。出費はかさむよ,どこまでも。