今日この頃

 そんなわけで,締め切り間近の学会発表要旨原稿をまとめなければならないところ。それでも,今日は天気がよかったので,付属幼稚園まで修理から戻ってきたパソコンを届けに出掛けた。
 付属幼稚園は3つあり,それぞれにパソコンを貸し出している。そのサポートをするのが私のいる部署の仕事。つまり私の仕事。故障があったり,何か要望があれば可能な限り飛んでいくわけだ。けれども,付属幼稚園はどれも離れた場所にあり,今回出掛けたところは歩くには遠い。車で行ければ一番いいが,あいにく通勤は電車にしているので肝心の足がないのである。
 こんな時は,バイク通いをしているとある課長さんに「バイク貸してください」と頼むのだが,今日は午後から出張に出掛けたみたいで借りられなかった。そこで,陽気もいいから,自転車で出掛けることにした。たまにはそんな,ゆったりとした時間感覚で仕事をしても罰は当らない。締め切りは待ってくれないけど‥‥。


 実は結構,付属幼稚園へのお出掛けは好きなのである。子ども達の様子も見られるし,卒業して付属幼稚園に就職した教え子たちの活躍も見られるし,何より現場好きの私は,その空間で関われるのが嬉しい。
 その園で唯一,男の先生である園長先生を訪ねて,直ったパソコンをセッティングさせてもらう。それから園で新しく買ったデジカメの添付ソフトをインストールしたり,あれこれお手伝いした。主任先生が前向きにパソコンに取り組まれる方なので,ポイントさえお伝えすれば結構上手に使いこなしてくれるのでやりやすい。
 某メーリングリストで,学校に出入りする業者の方々への手厳しい問いかけみたいなものを書いて,ご意見や実情を教えてもらったりした。顧客の甘えと,業者にとっての客商売の苦さみたいなものが,事態をあまり喜ばしくない方向に転がしている。私が付属幼稚園にやっているようなことは,学園内の無償サービスだし,ボランティア的な感覚も(大学と付属幼稚園という関係から来る遠慮を取り払う意味で)必要なのだが,業者は「商売」である。最後にゃ冷徹でないといけないと思う。自社や自社の属する業界に不利益なことを続けているような商売人は,商売人としてはどうかな。顧客が馬鹿で甘えん坊でケチなのは当然としても,そこを口八丁手八丁で利益を搾り取るのが商売人の腕の見せ所なのだと思う。だって,そういう努力をしている業者と付き合うと,こちらも気持ちいい。「損して得取る」のがダメといっているわけではない。「損して損したまま」で,顧客に何もアプローチしてこないことが,顧客をもっとダメにする。お金を払う側から「金を払いたいので払いやすいように,こうしてくれ」と言い出すのを待っているような商売人は,商売人じゃない。商売人の苦労は生やさしいものではないと想像はするし,偉そうにいう私に商気質はないから説得力はない。けれども顧客の立場としてはハッキリ言える。もっと緊張感を持って関わるべきだ。それは顧客に対してだけでなく,自らの仕事に対してそうあるべき。そして,学校教育の現場やお金を出す地方自治体の甘えた顧客に対して,業界をあげてもの申すくらいの気概を持つべきだと思う。
 それはね,いま現役業者の人々だけの問題ではなくて,今後その業界に足を踏み入れる若手や卵たちがちゃんと飯を食えるためにも,しっかりとした顧客との関係構築と,ビジネスモデル,収益モデルをつくる必要があると思うからだ。大事なのは,移り変わるモデルをその時代毎につくっていける「関係づくり」であることは分かりますよね。もしかしたら,次の時代にはマイクロソフト社もサン社もアップル社も消えているかも知れない。まったく違うコンピューティング環境で,商売の内容も変わっているかも知れない。それでも顧客との関係が緊張感のもとでタイトに結ばれていれば,その時々に適したビジネス関係と収益モデルを構築していけるはずだ。
 客商売の難しさ。それはきっと本当のことだし,毎日の愚痴の中で漏らしたっていい。でも,同時に,気概も持っていて見せて欲しい。そうでなければ,教育の情報化は,結局のことろお祭り騒ぎでしたで終わってしまう。私たち,そんなに長く生きられないのである。だらだら悪循環している暇があったら,できるところからやらなきゃ。そういう意味で,いまメーリングリストで展開している「共通仕様」の可能性模索議論は期待したい。議論が途切れそうになったらまたしゃしゃり出よう。
 いまいち,ブログになってから,書きたいテーマと書いた内容がかみ合わない。というか,ずれがより大きくなるなぁ。本当は,諏訪哲二『オレ様化する子どもたち』(中公ラクレ2005/740円+税)のこととか,書きたかったのに‥‥。