今日は学習科学研究会の日。文献が変わって,Gerry Stahl (2006). Group Cognition を読む。協調学習を支援するようなコンピュータの在り方やツールを研究開発してきた著者の遍歴を綴ったような本。
で,いきなり教師同士のカリキュラム共有を支援するシステム(Teacher’s Curriculum Assistant)を開発するお話から始まるので,ものすごく興味津々。なにしろ「こうだったらいいのにな〜」を形にしてみましたという雰囲気なので,思わず膝打ちしたくなる。
ただ,成果としてはプロトタイプ開発で終わってしまった模様。まだインターネットが普及し始めの頃のことだし,レッスンプランなどを共有する発想が米国では少ないこともあって,当時開花はしなかったようだ。補助もカットされたとか書いてある。
時代も変わってきたし,指導案を作り込む文化のある日本でなら,ある程度の可能性があるのではないか。そう思うのは,夢想が過ぎるのかも知れないとしても,50年後の世界に期待を掛けて,こういう研究の取り組みしてみてもいいんではないかなと思っている。
その後,Yさんと飲みながら研究談義。これからどんなスタンスで研究に取り組んでいくべきか,いろんなヒントをもらう。腰を落ち着けて取り組む姿勢を意識しないといけない気がした。
http://www.nakahara-lab.net/cool2.html
のsolowayらの研究が近いかもしれません。
あとは、下記でしょうか。これは僕の修士論文の一部です。
■授業設計支援
たとえば、教師の意志決定研究、あるいは、教師の知識構造研究の知見として提出された、ある授業設計モデルをエキスパートシステムを実装したコンピュータ上に実現することを目的とする。この研究領域の研究には以下のような研究がある。
たとえば、井上・岡本(1996)は、過去のすぐれた授業事例・指導技術の科学的知識・経験的知識に着目し、それらの知識を有効に活用するために、知識工学技術を用いて知識ベース化し、それに基づいて教師の活動や授業の運営を支援するエキスパートシステムを構築した。つまり、授業設計をエキスパートシステムが代行してやってくれ、あとは教師が修正するだけでよいようなシステムをUNIX上に構築した。
また、松田・野村・榎(1998)は、教員養成過程で授業設計手法を指導するための授業設計システムの開発をおこなった。このシステムでは、UNIX上で、授業計画を、授業状況の予測、教授意図、伝達内容、伝達方法、結果の予測という要素で記述することができるとしている。これらの研究は、教師の経験や技術が知識で表象可能であり、授業設計モデルに外化された知識こそが授業実践の改善に有効であることを背後仮説として有している。
でしょうか。
なかはらさん,ありがとうございます!
先行研究拾いの糸口になって助かります。